小商圏化時代を生き抜く(2)

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今日は 2020年10月13日です。

小商圏化時代を生き抜く(2)
 前回の記事で、現在の温浴業界の空模様として、観光商圏と大商圏は傘マーク、中商圏は曇り、小商圏は晴れという図を示しました。
https://club.aqutpas.co.jp/?p=2488

弊社事務所のある銀座界隈は、観光地であり、繁華街であり、ビジネス街でもある、大商圏立地としては日本でも代表的な存在ですが、かつての賑わいは見る影もありません。Go Toキャンペーンも虚しく、気がつくと今日もまた1店舗…という感じで知っている店の撤退が続いています。

その様子を見ていると、これから時代が大きく変わる節目ということを考えざるを得ません。個別企業はそれぞれの事情の中で生き残りを模索し、踏みとどまれるところもあるでしょうが、マーケット全体で考えれば風向きの影響は避けられません。

温浴マーケットの歴史を見てもそうでした。

外風呂と言えば生活に密着した銭湯や共同浴場が主役だった時代から、いまで言う温浴施設(その他公衆浴場)が登場したのは、1951年の東京温泉(東京クーア)、1952年のスチームバスセンター(のちのニュージャパンサウナ)、そして1955年の船橋ヘルスセンター(現在は跡地にららぽーとTokyo-bay)などが草分けであったと言われています。

そして1962年に有馬ヘルスセンター(現在の有馬温泉太閤の湯)、1966年に常磐ハワイアンセンター(現在のスパリゾートハワイアンズ)と大規模温浴施設の開業が続き、その活況を見て全国各地にヘルスセンター、健康ランドが台頭。

以降の半世紀は、公衆浴場(銭湯・共同浴場)の減少と、追い風を受けたその他公衆浴場(温浴施設)の増加が一貫したトレンドでした。

これは、日本の経済成長による自家風呂の普及と、それに伴う身体を洗う場としての銭湯・共同浴場の減少、さらにその反動としてレジャーやリラクゼーションの場としての温浴施設の台頭という大きな流れで、大型温浴施設は大商圏からの集客を狙っているという点で、過去の銭湯や共同浴場とは戦略が根本的に異なるビジネスだったのです。

船橋ヘルスセンターは“日本一大きい、日本一面白い、日本一安い、温泉と海と娯楽の大デパート”をテーマにありとあらゆる大衆娯楽を集め、最盛期の年間客数は400万人を超えていたそうで、今では想像もできないようなとてつもない集客力でした。

その後各地に登場した健康ランド、それに続くスーパー銭湯は言ってみれば船橋ヘルスセンターのミニサイズ版。基本的には温浴を軸に大衆レジャー要素を組み合わせて集客力を高めるという一貫した商圏拡大戦略だったのです。

コロナ禍以前から、商圏拡大戦略への追い風は弱くなっていました。高齢化社会と車ばなれ。若者を中心に遊びもコミュニケーションもオンライン化の流れ。増税による消費の低迷。元々風向きが変わりつつあったところへ、コロナ禍によって混雑や人との接触を避け、外出を控える心理が強くなり、半世紀以上続いた商圏拡大戦略は厳しい向かい風になってしまったのです。

コロナの影響だけだったら、いずれは回復と期待したいところですが、元々風向きが変わりつつあったとすれば、もう昔のようには戻らないと考えるべきでしょう。

一方で、いま「健康増進や免疫力への関心」「安全衛生への関心」「大都市集中から地方分散へ」「リモートワークによる生活行動変化」「インドアからアウトドアへ」といった新しい風が吹き始めています。

どの風に乗ってどこへ向かうのか。じっくり考えたいところですが、おそらく立ち止まっていても答えは見つかりません。いろいろ見聞し、実際に動く中から見えてくるのだと思っています。

(望月)

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