2021年を振り返る(2)

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今日は 2021年12月27日です。

 前号で、「グラフにすると明確ですが」と書いておきながら、グラフへのリンクを貼り忘れました。今年の日本で死亡者数が顕著に増えていることを示すグラフはこちらです。
https://club.aqutpas.co.jp/?p=3836

厚生労働省からは、「年間推計を機械的に算出した場合には、算出した推計値が実態と乖離することが想定されるため、令和2年に引き続き、令和3年(2021)人口動態統計の年間推計を行わないこととしました」との通達。

年間推計は一定の計算式で出てくる、あくまでも理論値に過ぎないんだから、都合によって出したり引っ込めたりするようなものではないのに…と思います。

では、2021年振り返りの続きです。

◆2021年を振り返る(2)

(4)事故は避けられない

 「ハインリッヒの法則」については以前にも書いたことがありますが、100年前に発見された労働災害における経験則のひとつです。発見者のハーバート・ウィリアム・ハインリッヒに由来して名付けられました。重大な事故1件が発生する背後には、29件の軽傷の事故があり、さらその背景には300件のヒヤリハットがあるという内容です。

長年に渡って製品の安全性や耐久性が研究され、設置基準や運用の基準が整備されてきた日本のサウナは、新たに巻き起こったサウナブームとともに、未知の世界へ進もうとしています。競うように奇抜なアイデアやデザインが登場し、日本初を謳うサウナも次々と出てくる中で、どれだけのヒヤリハットが起きているのか、考えることがあります。

例えば、ガードのないむき出しの薪ストーブを取り扱って、軽い火傷を負うようなことは数えきれないほど起きていると思います。そうした小さなトラブルが300件起これば、もっと深刻な事故が起きるのは必然なのです。

重大事故発生を防ぐには、ヒヤリハットの段階で些細なことと軽視せず、ひとつひとつ問題の原因を潰していくしかありません。それは業として温浴に関わる者全員の責任だと思っています。

(5)装置ビジネスの限界と温浴施設のこれから

 これまでのスーパー銭湯の平均的な入館料と利用時間のバランスを考えると、概ね10分あたり100円くらいの料金設定でした。設備アイテムをこれでもかと詰め込み、休憩スペースの無料サービスも充実させて、滞在時間を伸ばして客単価を向上させているように見えても、入館料を滞在時間で割るとだいたい10分100円は変わらなかったのです。

しかし、それを打ち破る温浴施設が登場してきました。開業ラッシュとなりつつある個室型サウナは、いま70分から90分の利用時間で4,000円前後。10分あたりで計算すると概ね500円から600円の設定です。

先日オープンした西荻窪のROOFTOP SAUNAは1時間1,480円(平日・男性)。10分あたり247円です。

いずれもこれまでの温浴施設の常識を大きく超える高単価を実現しており、その点で画期的な業態なのです。

1室あたり2坪を切るようなスペースにアイテムを詰め込んだ個室型サウナ。あるいは「サウナ→水風呂→外気浴」以外の要素を極限まで削ぎ落して回転を上げる。

こうした工夫によって事業効率を高めることは、ハードのありようによって事業性がほぼ決まってしまう温浴施設としては重要な経営戦略なのですが、2021年にそうした施設が集中的に出てきたことは…

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