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今日は 2020年6月27日です。
◆第2波への備え(2)
前号で、「この3月〜6月にどれだけ資金手当てができたのか。あるいはどれだけ新しいことに挑戦して、逆風でも事業存続できる方法をつかんだのか。目まぐるしく変化する状況に合わせて運営をコントロールできるようになったのか。」と書きましたが、大事なことなので、もうちょっと詳しく書いておきたいと思います。
新型コロナウイルス問題がこのまま終息に向かってくれるのか、それとも再流行したり長期化するのか、現時点では予測することは困難です。
しかし、今年の春から始まった第1波の時のように、ただただ波に翻弄され、身を固めて波が過ぎ去るのを待っているだけでは、再流行が繰り返されたり長期化した場合にいつまでも持ちこたえることはできません。
客数減少や臨時休業となれば、確実に企業体力は削られていきますから、それが続けばいつか廃業の日を迎えてしまうのです。
そうならないよう、再流行や長期化に備えることは絶対に必要です。仮にコロナ問題がこのままあっさりと終息に向かい、備えが空振りに終わったとしても、ムダにはなりません。
元々温浴マーケットはジリ貧で、閉塞感のある状況からの打開策を模索していたのですから、これは事業発展と永続のために変化するよい機会をもらったと考えて取り組むべきなのです。
テーマは大きく分けて4つあります。
(1)財務体質強化
売上が減少したりストップして日銭からの支払いが困難になった時は、現預金などの内部留保を切り崩していくしかなくなります。今回学んだように給付金や助成金は支給に時間がかかることが多く、緊急な資金繰りのあてにはできないことが多いですし、いつまでも無制限に支給されるものでもありません。
財務的に言うと、短期的な債務の支払いに対して、1年以内に現金化できる流動資産がどの程度確保されているかを示す流動比率(流動資産/流動負債×100)を高めておくことです。
昨日書いたディズニーを経営するオリエンタルランドの流動比率は、2020年3月末時点で315.2%。しばらく休園しても経営は盤石なのです。
http://www.olc.co.jp/ja/ir/achievement/indicator.html
つぶれにくい財務体質にするためには、運転資金の調達で手元のキャッシュを厚くしておくことと、固定的な支払いをできるだけ低く抑えるという両面からのアプローチが必要となります。
運転資金の調達はいま借り手にとても有利です。政府の非常時経済対策によって、融資の現場では「既存の借入とは別枠」「無担保、実質無利息」といった通常ではありえないような緊急貸付が大量に行われています。そんなことをして、日本経済は後でどうなるのか…とも思いますが、ともかくいま手元資金を確保したい借り手からするとありがたいことです。
・金融機関が窓口、市区町村のあっ旋付きで信用保証協会のセーフティネット4号、5号を活用。政府の号令で4千万円までは手続きさえすれば、ほぼ審査がないに等しい状況。
・日本政策金融公庫の特別貸付。手続きすれば4千万円まではだいたい通るようです。
・商工会議所等が窓口となるマル経融資も通常とは別枠で実質無利息の1千万円はすぐOK。
といったところで、数百〜数千万円単位の融資ならすぐ決まる可能性がかなり高いのです。さらに億単位の融資なら商工中金による危機対応融資があります。
もうひとつは、「固定的な支払いを低く抑える」と書きました。普段は抑えることができないから固定的支出になっているわけですが、上記の融資と同様に非常事態ということで見直しできる可能性が生まれています。
大きなところでは、
・賃料の引き下げ交渉。自治体によっては家賃を軽減する不動産オーナーに補助が出るところがあります。また賃料を払う法人に対しては経済産業省の家賃支援給付金で賃料の一部が助成されるようになります。人の流れが変わり、場所によっては不動産価値が大きく変わっていますので、普段なら固定的なはずの賃料にも交渉の余地が出てきているのです。
・雇用形態の見直し。これまで温浴業界では人手不足のため、企業体力に見合わない正社員採用もやむなし、という流れがありましたが、採用市場も風向きが一変しますので選択肢は増えています。ふたたび客数減少や臨時休業になる可能性を考えると、人件費の変動費化というテーマも考えてみる必要があります。
・既存借入の借り替えやおまとめ、リスケなどで月々の返済額を小さくできる可能性。
といったことがあります。他にも省エネ対策をはじめ各種の固定的な契約や支払いをひとつひとつ丹念に見直して、そもそもの支払額を圧縮したり、必要に応じて発生した費用だけ都度支払うように変動費化していくことが財務体質強化につながるのです。
コスト削減のノウハウについてもお手伝いしておりますので、手詰まりの時はご相談ください。
このレベルで4つのテーマを解説していると長くなってしまうので、次回以降に続きを書いていきます。
(望月)