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今日は 2020年6月12日です。
◆安全対策と料金改定
昨夜、おふろ&サウナサミット6.11が無事終了しました。最終的なご参加登録者数は264名、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
温浴に関係ある様々な業種業態、規模、地域の企業がすべて集まっていますので、それぞれが抱えるご事情や意識も千差万別。コロナショックで激しい経営ダメージを受けている企業がある一方で、意外とそうでもない企業もあります。
いろいろな事情の方がいらっしゃると思うと、断定的な物言いができないため、かえって戸惑わせてしまったところもありました。
メトスの吉永社長から、これからのサウナの安全対策についてお話をいただいたのですが、その中で浴室におけるサウナの面積バランス、利用人数制限、監視スタッフ配置といったご指摘がありました。
その点について、後から私が「サウナのあり方だけでなく、温浴施設全体のハードや経営構造にも関わる問題。すべてが変化しているこの時期に料金体系についても見直しを考えるタイミングです。」と申し上げたところ、視聴者チャットに「料金改定??上に?下に?」と書き込んだ方がいらっしゃいました。
本当はじっくり丁寧にお伝えしなければならないような問題を、短い言葉で言うべきではなかったと反省しました。
料金体系の見直しというのは、単なる入館料の上げ下げということだけではなく、メルマガ第1276号(2020年6月9日執筆)に書いたように、オプション料金、会員制度、時間制、予約制、貸切、サブスクリプション、ダイナミックプライシング…などを含めた総合的な料金体系の刷新のことで、もちろん期待するところは客単価アップ、そして消費者ニーズの多様性へ対応することです。
そもそも、これまでの日本の温浴施設の料金設定は全体的に安過ぎだったと思っています。何億円もの投資をして作り出した商品がラーメン一杯の価格と変わらないのはバランス的におかしいということは何度も申し上げてきましたが、世界的に見ても温浴施設の料金はもっと高めなのです。
例えば有名なバーデン・バーデンのカラカラテルメは90分コースで為替換算で約1,800円。フリードリッヒ浴場は3時間コースで約3,000円。上海の極楽湯宝山温泉館は入館料約2,100円くらいです。
物価の違いもありますので単純に為替換算では比較できませんが、1食分の食事代よりも温浴施設の料金の方が高いと思って間違いないでしょう。
日本には制度的に料金を自由に変えられない銭湯という存在があり、地域差はありますがだいたい400円台の入浴料となっています。これは消費者の予算帯で言うと500円ゾーン(400〜800円)ですから、銭湯よりも設備や付帯サービスが充実した温浴施設であれば、少なくともひとつ上の1,000円予算帯(800円〜1,800円)で通用するはずなのです。
しかし当然のことながら地域の相場感や競合店との力関係なども踏まえた上で料金体系の見直し、それに伴って新料金でも納得できるような館内のバリューアップをしていくということにトータル的に取り組まなければ、コロナ感染拡大防止対策のための利用人数制限やスタッフ作業負荷の増大は経営的に到底吸収できないはずなのです。
料金体系の変更というのは経営的な影響が大きいので、普段はなかなか踏み切れないものですが、世の中すべてが大きく変化している今こそが、そこに手を入れるべきタイミングなのではないでしょうか。
このようにお伝えしたかったのですが、言葉足らずになってしまったことをお詫び申し上げます。
私どものようなコンサルタント業は本来個別の事情をよく踏まえた上で提案をする仕事ですので、銭湯から大型温浴施設、ホテル旅館まで多様な業態の人が多く集まる場での発言の仕方は非常に難しいところです。
おふろ&サウナサミットは温浴関係企業すべてにお声掛けした関係上、全業種業態に共通のテーマを扱わざるを得なかったのですが、今後は対象者が少なくなっても踏み込んだ内容としていく方向性も考えて行きたいと思っています。
(望月)