罪を憎んで人を憎まず

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今日は 2021年12月1日です。

◆罪を憎んで人を憎まず

 昨日ある民間温浴施設の社長と車で移動しながら話をしていた時に、指定管理制度の話題になったのですが、そこで「公共温浴施設は『出禁』が使えない」という話が出てきました。

地方自治法で、「公の施設とは、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するために地方公共団体が設ける施設」と規定されており、公共温浴施設もそのひとつなのですが、民間の温浴施設とは何が違うのでしょうか。

地方自治法には、

──住民はその所属する地方公共団体の役務を等しく受ける権利が保障されている(同法第 10 条第 2 項)。
そして、同法では、普通地方公共団体が住民の福祉を増進するために設置する住民の利用に供される施設を公の施設と呼んでいる(同法第 244 条第 1 項)。
さらに、普通地方公共団体は、正当な理由がない限り住民が公の施設を利用することを拒むことはできず、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならないのである(同条第 2、第 3 項)。──

といったことが書かれています。

ある住民に対して、何らかのトラブルがあったとしても、出入り禁止にするという対処ができないという公の施設の立場は、確かにその通りでしょう。

しかし、公の施設でなくとも、公衆浴場業とは不特定多数の人を相手にするものであり、あらゆる人の利用を受け入れると言う立場は同じです。民間であっても正当な理由なくお客さまの利用を拒んだり、不当な差別的取扱いを連発していたら商売は成り立ちません。

私自身も現場運営をしていた時に、何度か「今後は当館への出入りはご遠慮いただきます」と言い渡した経験がありますが、とても残念な気分でした。

「毅然とした対応」「施設やスタッフを守るためには必要」と肯定的に語られることもありますが、出入り禁止とは、その人と施設との間に発生した問題の解決を諦めたということであり、以降も同様の問題が発生し続けるであろうという決めつけに他なりませんので、決して理想的な決着ではないと思っています。

確実にひとりのお客様を失うことになりますし、出禁を逆恨みされてさらに別の問題になっていくリスクもあるのです。

残念な気分というのは、本当はひとつひとつの問題と向き合い、その解決方法を見出すことがお互いの成長であると思いながらも、問題解決の困難さに屈してしまった自分に対する評価です。

多様性を受け止めつつ、攻撃性を排除し、誰もが安心して楽しめるように平和と秩序への配慮を求める。問題が起きても、その問題の解決と再発防止に努め、当事者をトラブルメーカーと決めつけて排除することはしない。

本当に許されないような犯罪や暴力行為があった時は、その問題は警察に委ねれば良いのです。

キレイごとの理想論だと思われるかも知れませんが…

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