飛行機の換気

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今日は 2021年11月30日です。

◆飛行機の換気

 昨夜は久しぶりに全日空のフライト。A321という新しい機体でした。

離陸前のアナウンスで、感染不安心理への配慮なのか、「機内の空気は約3分で入れ替わります」とのこと。へー、と感心しました。

座席のモニター画面が最新式のタッチパネルだったので、離陸後ひとしきり操作していろいろなコンテンツを見ていたら、機外カメラや地図、コックピット目線など、多彩なインフォメーションを見れる画面があり、そこで見つけたのは現在の高度9267mで外気温度マイナス48度という数字。

機内はおそらく25度くらいの快適な気温に保たれていて、何のストレスも感じないのですが、外気と70度以上の気温差があるのに、20回転/hもの換気をしているのか!とびっくりしました。

よく考えてみるとちょうどサウナ室内と外気も70度くらいの温度差がありますので、条件は近いのです。

飛行機がどういう仕組みで温度を保っているのか、熱交換はしているのか…気になるところです。

こんな変なことを気にするようになったのは、有馬温泉太閤の湯の耐熱仕様熱交換換気システムの開発に携わったためです。

太閤の湯のサウナでは、熱交換しながらの強制換気ファンに300立米/hの能力を持たせました。

これは在室1人あたり換気30立米/hというビル管理法基準をクリアするために設定した換気能力で、結果的には目標とするCo2濃度1000ppm以下も達成できたのですが、室内の空気を何分で入れ替えたいという目標は設定しませんでした。

というのも、部屋の空気がどのくらい入れ替われば良いという基準が存在しないからです。大きな空間で人が少なければ換気の必要はほとんどありません。逆に狭い空間にたくさんの人を詰め込んだら、どんどん換気する必要があります。あくまでも在室人数によるのです。

それにも関わらず、世の中的に「何分に1回入れ替わる」「1時間に何回入れ替わる」という表現が多いのは、それがイメージしやすいからでしょう。

しかし、太閤の湯のサウナ室や約60立米の容積がありますから、仮に10回転(6分に1回入れ替わる)を目指すとしたら、600立米/hもの換気能力が必要です。そんなに強制換気したらいくら熱交換していてもエネルギーロスが厳しいですし、ダクトを通る空気の轟音はサウナ室の静かな環境を損なうでしょう。

ただし、サウナの場合、もうひとつの換気があります。以前の第1605号「日本初!イノベーションサウナが爆誕するまで(3)」(2021年7月27日執筆)で書いたのですが、

──ドア開閉によってどのくらいの空気が入れ替わるのか?

これもあまり研究が進んでいない分野のようで、ネットで探してもなかなか期待する情報に行き当たりません。データの出所や計算方法によって1回あたり1.4立方mとか、3.9立方mとか、バラつきが大きいのです。

考えてみると、ドアの大きさ、開閉速度、前室有無、気圧差、温度差、外気の流れなどの条件もいろいろですから、これも一概に言えるものではないのでしょう。──

ということです。仮にサウナ室が常時満員に近い状態が続くとして、1人平均10分在室とすると、[20人×入室で1回×退室で1回×60分÷10分]で、1時間あたり240回のドア開閉があります。

これも仮の条件設定ですが、ドア開閉1回あたり2立米の入れ替わりだったら、[2立米×240回=480立米]。強制換気300立米と合わせると、合計780立米もの換気量で、サウナ室の容積60立米で割ると1時間に13回転もしているということになります。

焼肉屋さんで「当店は1時間に10回空気が入れ替わる換気を行っております」といった表記を見かけたことがありますが、太閤の湯のサウナ室はそれを上回る換気能力を確保しているのです。

おかげでサウナ室内の空気の対流が良くなり、息苦しさもまったく感じない快適なサウナが誕生したのですが、そんな体験があったので、飛行機が外気と70度の温度差がある中で3分に1回転という換気をしていることがとんでもなく大変なことだと気づいたのです。

空調の専門家でもない限りは、何気なく聞き流してしまうアナウンスだと思いますが、飛行機の換気はスゴイのです。

しかし、あらためて感じるのは…

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