再び温泉ブームを起こすために(4)

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今日は 2021年11月13日です。

◆再び温泉ブームを起こすために(4)

 家庭用入浴剤の袋の裏書きを読むと、「180〜200Lのお湯に本品1包を入れ、よく混ぜてから入浴してください」といった説明があります。住宅にある1人用の浴槽に7分目から8分目くらいまでお湯を張ると、だいたい200L弱の湯量になるということです。

単身世帯で、自分だけしか入らないのに浴槽に湯を張り200L。身体や頭を洗う時も10分間くらいシャワーを出しっ放しにして10L/分×10分なら100L。こんな贅沢な使い方をすれば、1人が1回の入浴に使う水の量は合計300Lです。

温浴施設でも、月間排水量を月間客数で割ると、1人あたり概ね300L前後となっているケースが多くなっています。

浴槽の湯水を共有し、濾過循環で捨てずに使うことを考えれば、もっと節約できそうなものですが、濾過循環方式でも大きな浴槽のオーバーフローや日々の逆洗、そして定期的な換水や配管洗浄…ということで、結局は同じくらい使うようです。

しかし、月間排水量÷月間客数が300L前後に収まらず、もっと大量に使っているとしたら、そこには何らかの問題が潜んでいると考える必要があります。

オーバーフロー量は適切なのか?

どこかから激しく漏水しているのではないか?

客数に対して、浴槽の大きさや種類が過剰なのではないか?

家庭で贅沢に使っても1人300Lなのですから、浴槽を共有する温浴施設がそれ以上に消費するのはシンプルにおかしい、と思って原因を究明しなければならないのです。

先日ある施設で、休館中にも関わらず貯水槽の水が減って補給水が入ることに気づき、調べたら1日20tもの水漏れが発覚したという話を聞きました。常に1人あたり300Lという基準を意識しつつ、日々メーターチェックしていたら、もっと早く気づけた可能性があります。勿体ないことです。

もうひとつ思うのは、濾過循環方式でも結局1人あたり300Lになってしまうのなら、そもそも大きな浴槽の意味は何だろう?ということです。贅沢な気分や、身体を伸ばしてゆったり入れるといった良さはありますが、そのために温泉の鮮度が損なわれたり、塩素を入れなければならないのなら、一長一短です。

以前「94の浴槽があるロシアのマチェスタという歴史ある温浴施設」のことを紹介しましたが、もし1人用浴槽に新しい天然温泉を毎回全量入れ替えるような運用をしたら、濾過循環設備への投資は不要ですし、塩素注入もせずに済みます。むしろその方が清潔感もあり、贅沢なのではないか?とも思えるのです。

全量入れ替え方式については、以前からそのメリットを提唱しているのですが、なかなか広まってくれません。

少し前のメルマガ第1681号「再び温泉ブームを起こすために(2)」(2021年10月27日執筆)で、

──公衆浴場法には、「循環ろ過装置は、1時間当たりで、浴槽の容量以上のろ過能力を有すること。」とあります。多くの温浴施設では、1時間あたり2回転以上させられるだけの設備能力を持たせています。

2m×2m×0.6mの浴槽があったとして、その浴槽容量は2.4tです。1時間1回転というのは、2.4tのお湯を循環させて濾過するということで、毎分に換算すると40リットルの量になります。2回転なら毎分80リットル。

数字だけでは分かりにくいかも知れませんが、普通の水道の蛇口を全開にした時に出てくる水の量が毎分20リットルくらいですから、2m四方の小さな浴槽に対して40リットルというのは、蛇口2本から勢いよく水が注がれている状態ということです。──

と書いたのですが、1時間1回転で勢いよくかけ流しにしたとして…

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