ルシウスの仕事

手前に豊富にオーバーフローしていた水風呂。
こうした設備は、現行法ではもう作れない。(ニュージャパンサウナSpaGRANDE・閉店)

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今日は 2021年10月29日です。

ルシウスの仕事

 以前、大規模リニューアル工事で竣工目前というタイミングにおうかがいした都市型温浴施設。浴室を拝見させていただいたところ、違和感を感じるところがありました。

それは、水風呂のオーバーフロー排水なのですが、通路に面した浴槽の縁に排水のための溝が切ってあるものの、それが幅5センチ程度の細い溝だったのです。

よく見ると他の浴槽も全部そうなっていました。

温浴施設の浴槽で、細い溝からオーバーフロー排水というのは見たことがありません。これでは汚れが排出されにくいのではないか?と感じ、その場でアクア・プランニングの中村社長に電話して聞いてみました。

やはり懸念した通りで、細い排水の溝では水面の汚れの排出効率が悪く、できれば浴槽4辺のうち1辺まるごとオーバーフロー排水させる構造が望ましい、とのことでした。

すぐ指摘したのですが、もう仕上げの段階だったため、浴槽1辺を全部やり直すような工事はできず、溝の幅を拡げる程度の対応しかできないとのこと。残念な出来事でした。

オーバーフローによる汚れの排出がうまくいかないと、顧客満足度が低下したり、無理矢理排出するために補給水を多く使うことになってランニングコストに響いたり、ろくなことがありません。

その経験をしてから、いつも浴槽のオーバーフローについて特に意識して観察するようになったのですが、世の中の温浴施設は意外と1辺まるごとオーバーフローになっていないところが多いのです。

それどころか給水のための吐水口と排水の溝がすぐ近くにあって水流がショートサーキットを起こし、水面全体の汚れが排出されにくい構造となってしまっているところも結構あります。

前にサウナの換気の話で給気口と排気口が近いとショートサーキットを起こして換気がうまくいかないということを書きましたが、それとまったく同じことです。

温浴施設の経験が乏しい設計会社や施工会社が担当すると、こうした問題が度々起きます。

上記の細い溝でオーバーフローすることになってしまった施設の経営者は、サウナ業界の重鎮とも言うべき経験豊富な方だったのですが、そんな人でも図面や工事現場を完璧にチェックするのは難しいことなのです。

ましてや経営者自身が温浴施設の知識に乏しい場合は、経験豊富な設計士や施工会社を選ぶことが必須条件でしょう。

 もうひとつ思うのは、こうした浴槽やサウナ設備の細かい施工ノウハウを…

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