◆経営と現場

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今日は 2021年10月22日です。

経営と現場

 九州のサウナファンから熱い支持を受ける老舗施設、長崎県佐世保市のサウナサンに立ち寄ったところ、ちょうど足立社長が現場にいて、ご挨拶することができました。
https://sauna-sun.com/

今回は短時間の利用体験でしたが、サウナの中に足湯があったり、熱気の対流促進を狙った防熱板形状、ロウリュ時は暗幕カーテンと照明OFFで暗闇の演出、水風呂吐水口の水質改善装置、休憩イスコーナーにミスト噴霧…ちょっと見回しただけでも数えきれないほどのオリジナリティ溢れる工夫が見つかり、すっかり楽しませてもらいました。

メルマガ第1585号「所有と経営と運営」(2021年7月1日執筆)で、

──ひとりの経営者が施設をつくり、その現場運営にまでしっかり携わる場合は所有と経営と運営の立場は一体化しており問題ないのですが、分離する場合はそれぞれが自分の役割をよく理解し、お互いを尊重していないと決してうまく行かないのです。──

と書いたのですが、それは遠くから表面的な数字を見ているばかりでなく、現場に近いところで経営判断がなされていないとうまくいかない、という警鐘の意味で書きました。

サウナサンはその逆で、経営者の意志がダイレクトに現場に反映されている施設です。上に書いたような個性的な取り組みは、現場にいるからこその柔軟な発想や遊び心から生まれています。

ハイスペックやコストパフォーマンスが誰にでも評価されるのは当然のことですが、いろいろな施設に行って、温浴施設を知り尽くしたヘビーユーザーの心に響くのは、そんな個性的な施設だと思います。

初めの頃はガイドブックを見たり、誰かについて温浴施設に行っていたのに、自分で行くようになり、月に1回だったのがいつの間にか週に何度も行くようになり…マーケットはどんどんヘビーユーザー化していきます。

ヘビーユーザーが今日はどの施設に行こうか、と選ぶ基準はもはや満足度やコスパを測るような損得計算ではなく、好き嫌いという感情的な部分になってくるのです。

浴槽やサウナが何種類もあるといったことよりも、何故そのような選択や経営判断をしたのか、その意図を感じ取って好き嫌いが分れていきます。

最終的には、人間性を見られているということです。

とはいえ、すべての温浴施設の経営者が自ら現場に立てるかというとそれは難しいと思います。温浴施設を経営するのは億単位の投資ができる企業ですので、本業が別にあったり、経営拠点を複数抱えていたり、忙しくて現場に深く携われない経営者の方が多いでしょう。

そういう時は、支配人や店長などの現場トップに判断を委ねることになります。

マーケットがヘビーユーザー化していく時代に生き残るためには、経営者と現場トップの間に信頼関係があり、現場トップの裁量で自由な取り組みができることが必要です。

費用対効果が計算できないことや遊び心でしかできないことはたくさんあります。現場に少額しか決裁権がなかったり、いちいち面倒な稟議を書かないと物事が進められないようでは、ヘビーユーザーの心をつかむことはできず、スピードも出ず、いずれ施設の老朽化や時代の波に置いていかれてしまうのです。

そう考えると…

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