神秘性

有料メルマガ「日刊アクトパスNEWS」会員の皆様

今日は 2021年10月13日です。

神秘性

 前々号のメルマガ第1667号「皮膚と温浴」で、

──アルカリ泉は皮膚を柔らかく清浄にする、塩化物泉は熱を逃がさない…そういった表面的な化学の世界だけではなく、もっと複雑で多様な作用があるからこそ、大昔から天然温泉が貴重なものとされてきたのだと思います。そうでなければ、わざわざ苦労して天然温泉を掘らなくても、重曹や塩化ナトリウムを入れておけば良い、となっているはずです。──

と書きました。

重曹や塩などの入浴剤を入れた湯と天然温泉はどう違うのか。それは人類がまだ解き明かしきれていない謎でもありますが、そこに必ず人智を超える何かがあると感じているから、温泉が珍重され、愛され続けてきたのだと思います。

科学的には何も根拠を見出せず、学校でも教えないのに、いまだに人が信じ大切にし続けていることはたくさんあります。正月なお盆などの年中行事もそうですし、手相や星占いを気にする人も多い。

発酵や燻製も、今の教科書にはまともに載っていませんが、大切に受け継がれています。ネット利用が進んだことで、失われかけていた技術や知恵も再び共有できるようになってきました。良いことだと思います。

そういう意味で、以前から気になっているのは「サウナには天然温泉のような神秘性が足りないのではないか?」ということです。

天然温泉は、誰も実際に目にすることができないような地下深くから湧き出し、ひとつひとつ泉質が違う、長年封じ込められていた太古の水…といったキャッチフレーズを見ただけで神秘性を感じさせます。

それと比べてサウナは、材料と技術があれば作れますし、その品質は場所を問わずに再現できる。水風呂や外気浴は環境に左右されますが、サウナ室そのものには「人智を超える何か」というものが感じられないのではないか、という気がしていたのです。

フィンランドでは、サウナには精霊が住むとか、ロウリュ(蒸気)に森の魂が宿ると言われたりしているそうですから、神秘的です。しかしそれは何千年もの歴史があるから精神世界と結びついているのであって、歴史の浅い日本のサウナで突然精霊とか言い出してもピンときません。

実際に掘ってみないとわからない天然温泉と比べて、技術的に再現できるサウナは、経営的には信頼できるとも言えるのですが、人智を超える何かへの畏怖や憧れが伴わないものは、いずれ廃れてしまうのかも知れない…漠然とそんな不安を感じていたのです。

サウナと神秘性…そのことをずっと考えていたのですが、ふと、前から引っかかっていた「サウナが古いほど、身体がより浄められる」というフレーズを思い出しました。
https://youtu.be/Q2iRHo3CQiE

それは精神性なのか、安心感なのか。私なりに何度も考察してきたのですが、一体なぜ古い方ほど浄められると言うのか、その意味がハッキリとは分からなかったのです。分からない謎というのは神秘的です。

今日思ったのは、もしかするとこれは…

---------
この記事は会員限定公開となっており、全文は表示されておりません。

メールマガジン「日刊アクトパスNEWS」をご購読いただくと、毎日全文がメールで届きます。

メールマガジンご購読のご案内はコチラです。

Share this...
Share on Facebook
Facebook
Tweet about this on Twitter
Twitter