予算帯とダイナミックプライシング

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今日は 2021年9月10日です。

予算帯とダイナミックプライシング

 前々回のメルマガ第1641号「新幹線がダイナミックプライシング」で、

──「入館料の上げ下げに対して、反比例するように客数が変動する」と仮定してみました。

この仮定は、例えば入館料を110%にすると客数は91%となり、入館料2倍なら客数は1/2に半減という意味です。──

と書きました。本当に料金と客数は反比例するのかというと、現実はそんなに単純な話ではありません。

10%〜30%くらいの割引販促による客数増の効果をイメージしてみると、だいたい反比例している印象があります。

しかし、入館料2倍なら客数1/2、入館料10倍なら客数1/10なのかというとそれは別問題です。

例えば入館料1,000円の施設がいきなり10倍の10,000円に設定したら、元の客数が500人だったとしても50人になるのではなく、ほとんど来てくれなくなるでしょう。

これは、折にふれて書いている「予算帯」という消費者心理が働いています。消費者はあらかじめ受け取れるであろう価値を想像しながら、大まかに支払う金額を予定しているのです。

予算帯心理は「1,2,3,5,10,20,30,50,100…」というお財布の中の貨幣紙幣の単位に連動しており、温浴施設の場合、ほとんどが300円、500円、1,000円、2,000円、3,000円のいずれかの予算帯に属しているとみられています。

・300円予算帯は、短時間の入浴のみ。小さな共同浴場のイメージ。
・500円予算帯は、天然温泉や設備バリエーションなどの入浴の楽しみが加わる。銭湯のイメージ。
・1,000円予算帯は、さらに入浴の楽しみが増え、飲食や休憩スペースも楽しめる。館内着がつくこともある。スーパー銭湯はだいたいこのゾーン。
・2,000円予算帯は、確実に館内着が提供され、入浴以外にも長時間楽しめるアイテムが充実している。健康ランドや都市型サウナのゾーン。
・3,000円予算帯では、さらに特別な独自の価値が提供される。この予算帯で営業している温浴施設は日本でもわずかしかない。

…現代の消費者が受け取れるであろうと想像している価値とは、だいたいこんなイメージでしょう。

それぞれの予算帯の間には…

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