ハフモデルと温浴ビジネス

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今日は 2021年8月26日です。

◆ハフモデルと温浴ビジネス

 店舗の集客力を測定する古典的な理論に「ハフモデル」というものがあります。その昔流通業界の仕事をしていた時はよく使いましたが、「商業施設の集客力は、売り場面積に比例し、距離の2乗に反比例する」という考え方です。

「売り場面積に比例し」という部分は、小売店の場合は売場面積が大きければそれだけ品揃えが充実しているということであり、より多くの消費者の購買動機に対応するチャンスがあるので、集客力が売り場面積に比例するというのは感覚的にも理解できます。

「距離の2乗に反比例」という表現はややこしく感じますが、簡単に言うと、店から3km圏は面積にすると3×3×3.14=28.26平方km。倍の6km圏の距離なら6×6×3.14=113.04平方km。半径が2倍になると面積は4倍になります。

店の魅力が地域に伝わっていく様子を店から集客力の詰まったボールが28個放たれるようなイメージで考えると、3km商圏内では1平方km単位の面積に対して1個のボールが届きます。

2倍の6km圏なら113平方kmですから、1平方km単位の面積4つに対して1個。上記と同じ1平方kmに対しては4分の1しかボールが届きません。

店から3kmの距離に住む人にはほぼ伝わっていたことでも、6kmと距離が2倍になると面積が4倍ですから、集客力のボールが届く確率は4分の1に薄まってしまうのです。10倍の30kmになるとわずか100分の1ですから、ほとんど影響力がなくなってしまいます。

ハフモデルは、売場面積と距離という単純な2つの要素だけを考えていますが、シンプルな真理を示していたと言えます。現代では商品や業態、店づくり、商業立地が複雑化し、もはや小売店でも集客力をハフモデルだけで測ることはできなくなってしまいましたが、店舗ビジネスに携わる者としては原則的な考え方として理解しておく必要があるでしょう。

 ところで、温浴施設の場合はどうでしょうか。浴槽やサウナが大きかったり種類が多ければ集客力が強いかというと、決してそんなことはありません。温泉の肌ざわり、露天風呂の景色、水風呂の冷たさ、湯あがりのサ飯の美味さ、読み放題の漫画、フロントスタッフの笑顔…。消費者の求めるものは千差万別複雑怪奇です。

元々の資源の有無や魅力ひとつひとつの強弱はありますが、魅力を感じてもらえる要素をどれだけ作り出し磨き上げられるか、あるいは魅力をぶち壊しにするような阻害要因を排除できるかということは、面積に比例するのではなく、施設側の経営努力に比例していると言えそうです。

もうひとつの重大な要素である距離ですが、これも小売店とは事情が異なります。

家から10分の距離にあるけどあまり魅力を感じていない温浴施設Aと、家から30分かかるけど大好きな温浴施設Bがあったら、ほとんどBに行ってしまうのではないでしょうか。

10分と30分ならハフモデルで言うと集客力は9倍違うということになるはずなのですが、Aに9回行ってBには1回とはならないのです。

では、もっと魅力を感じる温浴施設Cが60分離れたところにあったらどうかというと、これはなかなか気軽に行くことはできません。

この消費者心理は、利用目的によって許容できる時間消費の範囲が異なるからと理解しています。

日常的と非日常、デイリーとウイークリーとマンスリー、近隣と広域と超広域、小商圏と中商圏と大商圏…などいろいろな言い方をしていますが、ひとっ風呂行ってサッパリしたいだけの時と、バッチリととのいたい、1日のんびり過ごしたい、家族や友人と楽しく過ごしたい、体調不良を治したいなど、同じ温浴施設利用のようでも別の消費行動と言えますので、必ずしも距離の2乗に反比例という法則に当てはまらないのです。

さらに言うと、インターネットには距離がありません。上では魅力の伝わり方をボールに例えましたが、ネット情報の場合は地域性よりも、ネット媒体をどれだけ効果的に駆使しているかということの方が重要です。

つまり、どのような魅力をつくり出して(経営努力)、どのような消費者行動に対応し(マーケティング戦略)、それを効果的に伝えるのか(ネット販促力)ということは施設側のやり方次第である部分が大きく、結果として温浴施設の集客力はハフモデルのように「面積に比例し、距離の2乗に反比例する」ということには全然ならないのです。

だから温浴ビジネスは難しい、とも言えますし、無限の可能性がある、とも言えます。

(望月)

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