防災と温浴施設

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今日は 2021年8月16日です。

防災と温浴施設

 今年の夏は、記録的な大雨によって各地で土砂災害や浸水被害が続出しています。まだしばらく降り続くようで、さらなる被害が出ないか心配される状況です。

元々災害大国日本ではありますが、最近は百年に一度とか、これまでに経験したことのないような、と言われる異常気象が頻発するようになってきており、災害に対する備えは一層重要となってきています。

以前から「温浴施設は頑丈で大きな建物、独自の水源や貯水槽、温浴設備、燃料や資材食材の備蓄、休憩機能、飲食機能などを備えており、地域の防災拠点として重要な役割を果たすことができる」ということをお伝えしていますが、災害に強い温浴施設となるためには、それを意識した対策が必要となります。

ライフラインが寸断された時に、たとえ自家源泉や自家井戸があっても、多くの場合汲み上げるポンプが稼働しないと湯水は供給できません。水道だけでなく電気も止まっていたら、結局水は出ないということになってしまいます。

自家発電、太陽光、蓄電などで設備が動かせれば良いのですが、新築時からそのような設備構造になっているかというと、イニシャルコストの増大になりますので、なかなかできることではありあません。

入浴だけでなく、飲み水、調理、トイレ、洗濯など人間が生きる上で水は必要不可欠ですから、水道以外の水源があったり何十トンも貯水しているということは非常に大きな意義があります。

熱源も同様です。ボイラーの燃料には都市ガス、LPG、重油、灯油、特殊燃料などがありますが、使用する燃料の供給が絶たれたら湯を沸かせなくなります。複数の燃料を使えればそれだけリスクに強くなりますが、設備投資がかかり、運用も煩雑になります。

備蓄はスペースの問題ですが、スペースもコストです。いつも新規開業案件では面積をギリギリまで削りながら事業性を確保していますので、普段使わないものを在庫しておく余裕は作れません。厨房の冷蔵冷凍庫だって足りないことの方が多いでしょう。

このように、新築時の温浴施設はまだ必ずしも災害に強いとは言えないでしょう。しかし開業後に徐々に手を加えていくことによって、防災拠点としてできることを増やし、災害に強い施設に変えて行くことはできるのです。

収益性に直接プラスになることではありませんし、災害はいつ起きるかも分からないことですが、地域からの信頼や、従業員の安心と誇りのためにどこまで投資できるか。企業の存在意義や長期的発展のためには重要なことだと思います。

もうひとつ重要なことは、行政との連携です。横浜天然温泉満天の湯が、横浜市保土ケ谷区と結んだ協定が好例です。
https://mantennoyu.com/2018/03/22/15/

災害支援は、支援できることと、それを必要としている人がマッチングできないとうまく機能しません。

温浴施設であれば、大なり小なり
・被災者やボランティアの方々への入浴機会の提供(施設運用が可能な状態であれば)
・被災者の一時避難所としての受け入れ
・雑用水の提供(ポンプが止まっても、貯水槽と浴槽に一定量あり)
・消耗品の提供(アメニティ、タオル等)
・携帯電話等の充電
といったことは可能だと思います…

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