日本初!イノベーションサウナが爆誕するまで(6)

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今日は 2021年7月31日です。

日本初!イノベーションサウナが爆誕するまで(6)

 前回、「熱交換エレメントと耐熱型の送風ファンを組み合わせて、給気口と排気口をダクトでつなぐような取り付け工事であれば、さほど難易度が高いとは思えず、全体の金額はおそらく一式数十万円台で収まるだろうと踏んだのです。」と書きましたが、これも実は大甘な見込みでした。

アクアプランニングさんに機械の取り付け位置やダクトの取り回しを図面化してもらい、工事費見積りを取ってみたところ、なんと私が想像していたよりもゼロがひとつ多い金額が出てきてしまったのです。

見積り金額を見た時は自分の目を疑いました。

そこまでコストアップしてしまった最大の要因はダクト工事。換気用のダクトですから、それこそテントサウナの煙突に使われているような軽くて薄い素材をイメージしていたのですが、現実はそうはいきません。消防法でサウナにダクトを使用する場合は、厚さ1.5mm以上の鋼製のものを使用すべし、とガッチリ定められています。

分厚くて頑丈な鋼製のダクトを複雑に長く取り付けようとすると、目ん玉が飛び出るような見積りになってしまうのです。

ロスナイ(R)なら製品本体価格は数万円なのに、同じような熱交換式の換気を自作しようとすると2桁も金額が違うとは…。

前回サウナ室の壁をいじる工事が難しいということは書きましたが、サウナのダクト工事も簡単ではないということです。

いくつも立ちはだかる困難に呆然とする中、現場ではともかくサウナ室のCO2濃度測定実験をしてみようということになりました。

 実験レポートを書く前に、サウナ室における換気をどう考えるべきなのか、もう一度整理しておきましょう。

・サウナ室の換気は、給排気口からの自然換気と、人の出入り時のドア開閉による換気を合わせたものだが、給排気口からの自然換気量は微量。ドア換気は環境に左右され、数値化しにくい。

・厚生労働省からは、換気量がどの程度あるかを確認し、一人あたりの必要換気量が確保できるよう、部屋の内部の利用者数の上限を調整することが推奨されているが、サウナ室の収容人数をどのくらい制限すれば安全と言えるのか、判断基準がない。

・3,000平方m以下の商業施設(温浴施設)は、ビル管理法における特定建物に該当しない。しかし維持管理の努力目標として、二酸化炭素濃度1000ppm以下、在室1人あたり毎時30立方m以上、換気回数毎時2回以上といった換気能力の指標が示されている。(厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000618969.pdf )

・モデルケースとして床面積12平方m、天井高2.5m、空間容積30立方m、収容人数10人のサウナ室で試算してみると、人数基準(1人あたり毎時30立方m)なら300立方m/h、容積基準(毎時2回換気)なら60立方m/hと結果が大きく異なってくる。

・サウナの高温環境下で人体から発生する二酸化炭素量は平常時と比べてどのくらい増えるのかも不明。

このようにサウナ室の換気能力は数値化しにくく、人数基準や容積基準から必要換気量を判断するのは難しいので、二酸化炭素濃度という実態で判断することが最も望ましいと考えられます。

太閤の湯のサウナ室CO2濃度測定実験は、休館日を利用して、社員や関係者をかき集めて行われました。

コロナ前はサウナ室の定員が20名でしたので、まず、20名が一斉に入室して10分間ドア開閉しなかったら、どのくらいCO2濃度が上昇するのかを調べました。

ドア開閉なしということは、換気は給排気口からの自然換気だけということです。

実際の営業中では、満員状態であっても人が交代で出入りしますので、10分間ドア開閉なしということはまず起きないのですが、最も過酷な状態を見てみようということです。

20人の男たちが高温の中でひしめき合い、出入りもない締め切ったサウナ室。10分後のCO2濃度は…(つづく)

(望月)

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