日本初!イノベーションサウナが爆誕するまで(5)

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今日は 2021年7月30日です。

日本初!イノベーションサウナが爆誕するまで(5)

 耐熱型の熱交換エレメントと送風ファンをゲットできても、その後まだいくつもの困難があることが分かってきて、再び暗礁に乗り上げていました──というのは、具体的には以下のようなことです。

まず、ようやくたどり着いたアルミ製の熱交換エレメント本体の見積りを取りました。結果は1台あたり十数万円で、その金額を見た時は正直安堵しました。

ロスナイⓇなら完成品で数万円の価格ですし、新しい熱交換換気システムとは言っても所詮は換気扇。省エネ効果も期待できるとはいえ、温浴施設経営の立場から考えると、換気扇にそこまで多額の投資ができるとは思えません。

熱交換エレメントと耐熱型の送風ファンを組み合わせて、給気口と排気口をダクトでつなぐような取り付け工事であれば、さほど難易度が高いとは思えず、全体の金額はおそらく一式数十万円台で収まるだろうと踏んだのです。

しかし、他にも課題はあります。

まず換気量の設定をどうするか。ドア開閉の換気量が正確に分からないとなると、できれば強制換気だけで1人あたり30立方m/hの換気量を確保したいところ。10人×30立方m/hとなると300立方m/hです。

耐熱型送風ファンはいろいろなサイズの製品がありますので、送風性能は300立方m/hでも問題ありません。しかし、サウナ室の給排気口は大きくても直径10cm。そこに通常の30倍、秒速10mもの強風を送り込んだら、轟音が発生してしまう可能性があると熱交換器メーカーの人に指摘されました。

また、サウナ室の給気口と排気口の位置は様々です。その取り付け位置が近いと、給気された空気がすぐ排気されてしまうショートサーキット現象を起こし、部屋全体の空気を効果的に入れ替えることができません。

それなら給排気口の穴を拡張したり、他の場所に開け直すような工事をすれば良いと考えて、アクアプランニングの中村社長に相談してみたところ、サウナの壁はコンクリート壁のコア抜きと違って簡単に穴開けはできないと言われました。

サウナの壁は外装材、躯体、空気層、断熱材、不燃材、内装材などの複雑な多層構造で、後から乱暴に穴を開けようとすると、下手をすれば広範囲に壁を壊してしまい、取り返しのつかないことになるかも知れないから、工事業者に嫌がられるだろうと言うことです。

それから、高温多湿なサウナ室内の空気と常温の外気を熱交換するのですから、相当な量の結露水が出ることになり、そのドレン排水経路の確保も必要。

さらに、熱交換するとはいえ熱交換効率は100%ではないので、換気をすればするほど熱を捨てることになるのは変わらず、熱損失量の増加がストーブの昇温能力の限界を超えてしまったら、サウナ室の温度低下という本末転倒なことにもなりかねません。

この点については私の中学数学的な計算の域を超えているので、太閤の湯のサウナストーブ(ロッキーサウナ)のメーカーであるメトスさんに泣きついて計算してもらったところ、換気による負荷の増大は既存ストーブの能力でカバーできる範囲内という回答をいただいて、ひと安心することができました。

そんなこんなで、専門外の技術の世界を迷走しながらも、次第にできることとできないことの整理がついてきました。

もうひとつ、大きな問題が残っています。それはサウナ室内の二酸化炭素濃度です。

このシリーズ(3)に書いたように、1人1時間あたり30立方mの換気という基準は、たぶん激しい活動をしていない平常時に人体から発する二酸化炭素量を想定していると思いますが、サウナに入って (;´Д`)=3 ハアハア している人間から出る二酸化炭素量はどうなっているのか、これもわかりません。

教科書に書いてあることだけじゃ分からない…とすれば、やってみるしかありません。(つづく)

(望月)

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