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今日は 2021年7月16日です。
◆儲からないことをやってはいけない(2)
前回記事で、「温浴施設の経営は、初めに作った施設の規模や業態によってほぼ収益構造が決まってしまい、あとから修正するのは非常に難しい」と書きました。
もし損益が赤字になってしまったら、そこから脱却するには相当な覚悟と、努力を重ねる時間が必要で、改修のための追加投資も必要になるかも知れない…そこに温浴ビジネスの難しさとリスクがあります。
これまで赤字となっている温浴施設の経営再建を何度もお手伝いしてきましたが、売上アップのための努力はもちろん、重箱の隅をつつくような細かいコストダウンから、大胆な改修工事まで、ありとあらゆる手を尽くして損益の改善を図ります。
赤字幅や累積赤字が大きければ、それはとんでもなく難易度の高いことになるでしょう。
それほど難しい温浴施設経営に取り組むのですから、少なくとも温浴以外の他部門で赤字を出している場合ではないと思うのですが、意外と少なくないのが飲食部門の赤字です。
飲食部門で赤字が出続けるというのは、温浴部門の経営構造と比べて考えると、不思議な気がします。
温浴施設の飲食部門というのは、基本的に直営か運営委託方式です。不動産コストや借入返済は全体の問題と考えると、飲食部門で直接かかるコストは食材仕入れと人件費が大部分となります。
飲食ビジネスでは「FLコスト」と呼びますが、2大コストである食材仕入れと人件費あわせて売上の7割以下にコントロールできていれば、単純に考えて利益は出るはずなのです。
温浴部門には、毎日風呂を沸かしたり、サウナを温めたり、営業時間外清掃をしたりといった、客数や売上に関わらない固定的な支出がありますが、飲食部門のコストは大部分が変動費です。
毎日100人分の料理をあらかじめ作って、10人しか来店がなかったら90人分は廃棄するとか、満席になった時でもサービスレベルが落ちない人員を朝から晩まで配置しなければならないといったことではないのです。
食材原価250円のメニューを考案したら、750円の価格設定をすれば食材原価率は33%。
メニューによって原価率が異なるとしても、メニュー全体として平均原価率を狙った水準に持っていけるかどうかは仕入れ価格か料金設定かロス管理の問題ですから、必ず問題点は見つかりますし、コントロールできないはずはありません。
人件費も同様です。例えば飲食部門の平均月商が…
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