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今日は 2021年7月15日です。
◆儲からないことをやってはいけない
恩師から教わった、と言うほど大袈裟な話でもないのですが、舩井幸雄の「儲からないことをやってはいけない」というシンプルな考え方は、今でも自分の基本的な判断基準になっています。
前職は様々な業種の専門家がいるコンサルティング会社でしたので、年間を通じて多くのセミナーが開催されていたのですが、中には企画を外したり、準備不足だったりして、集客に失敗してしまうセミナーがありました。
そういった参加者が少ないセミナーで、講師以外に受付や司会などで何人も社員が動いているのを見た舩井幸雄が、上記の「儲からないことをやってはいけない」という話をしてくれたのです。
参加者が少なければ、会場設営、受付、司会進行も講師一人でこなせるはずで、それを何人も動かして赤字にしてはいけない、ということです。
セミナーを企画した当の講師にしてみれば、参加者が少なくても立派な先生を演じたいところですから、講師自ら受付業務までこなすのはみっともない、という心理があります。それでついついスタッフを通常のように配置してしまうのですが、そんな体面的なことよりも、赤字の方が問題なのです。
「儲かると言うことは世の中のためになることと堂々と考えてよい。だからもうからないことはやってはならない」
「公の機関だからもうからないことをしてもよい、採算を度外視してもよいとうのはまちがい」
とも言っていました。いずれも単純明快です。
ところが、私が長く携わっている温浴ビジネスは、この考え方を当てはめようとしても難しい面があります。
温浴施設の経営は、初めに作った施設の規模や業態によってほぼ収益構造が決まってしまい、あとから修正するのは非常に難しいのです。
例えば、浴槽の容量や設備の方式を決めた時点で、その浴槽の運用にかかる水光熱費や維持管理にかかるコストはほぼ決まってしまいます。客数が多くても少なくても、後から状況に合わせて臨機応変に変更することはできません。
当初期待した集客や売上に届かず、損益が赤字になってしまったとしたら、そこから脱却するには相当な覚悟と努力を重ねる時間が必要です。改修のための追加投資が発生するかも知れません。
だからこそ、温浴施設は何よりも最初の計画が肝心なのです。慎重な客数・売上予測、適正規模、省エネ省コストに配慮した設備、それでいて高い顧客満足度。
最初の計画段階を軽視したり、失敗があると、儲からない施設ができてしまう可能性が高いのです。
資金潤沢な人が、採算性を軽視した立派過ぎる施設を作り、巨額の赤字が出続けるのをみてすぐに事業を放り出すのを何度も見てきました。
これから温浴ビジネス参入を目指す人たちには、儲からない温浴施設を作ってしまったら、後々の苦労は並大抵ではないということを、ぜひ知っておいてもらいたいと思います。
(望月)