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今日は 2021年7月5日です。
◆個と全体
温浴施設の運営はチームプレーです。
いくら完璧なメンテナンスでピカピカに磨き上げられた浴場があっても、フロントスタッフがぞんざいな接客態度でお客様のお怒りを買ったらそれまで。
部分的な満足度を高めても、館内体験のどこかで不満を与えたらそれで台無しになってしまうのです。
野球やサッカーなどの団体競技と同じです。1人のスーパースターがどんなに素晴らしいプレーを見せても、最終的な勝敗は全体のレベルで決まります。
この点が温浴施設の運営マネジメントをする上での最重要課題と言えるでしょう。
経営者や支配人は全体に意識を巡らせる仕事ですが、どんなに有能でもひとりですべての運営業務を回せるわけではありません。まだ社歴の浅いスタッフは仕方ないとしても、全体を考えられる人材が多くなってこないと運営はスムースに回らないし、レベルも上がらないのです。
だからこそ、館内隅々まで意識を巡らせることができる組織にしていくことが重要です。
セクショナリズムを排除し、ジョブローテーションで自分の持ち場以外も分かる人材を育成し、あの手この手で社内コミュニケーションを促進する。それが一般的な温浴施設のマネジメント方針となります。
ところが、それとは違う方法で極めて高い運営レベルを実現した温浴施設を見たことがあります。
それはご存知ニュージャパン観光です。20年前のニュージャパンサウナなんば本店は、ひとつのビルに男性用サウナ3店舗、女性用サウナ1店舗、さらに飲食店が2店舗営業するという形態でした。
当時は健康ランドやウォーターパークなどの大型施設がまだ好調だった頃で、ひとつの温浴施設が1000人分以上のロッカーを持っていることも珍しくない時代でした。しかし、ニュージャパンはあえて店舗を分割し、1店舗を大きくしようとはしなかったのです。
しかも、それぞれのサウナの中にある飲食コーナーやマッサージ、アカスリなどの部門も店名がつき、店長がいて、独立採算でした。
さらに、ランドリー、園芸、広告宣伝などの部署も独立採算。
全体を合わせた事業規模が大きかったからこそ、そのような経営が可能だったとも言えますが、そこまで独立採算制を徹底している温浴施設は後にも先にも見たことがありません。
弱い者同士の馴れ合い、傷のなめ合いになるくらいなら、たとえスタンドプレーでもひとりひとりが経営者意識を持って個々の力を最大限発揮した方が良い。そういう考え方だったのだと思ます。
これも、ニュージャパン観光の経営の出発点に由来しています。
https://newjapan.aqutpas.co.jp/2020/01/09/post-350/
以前中野憲一会長からうかがった、
──ニュージャパンは戦前に飲食店からスタートし、戦後復興期には社交業(キャバレー)を展開していました。その頃は、女性が働いて生活費を稼げる場所としてキャバレーは重要な役割を担っていたのです。
当時のホステスさんたちを社会人としてきちんと育てたいという思いがあり──
という言葉を思い出します。
人を育てる(教育性)ということが経営の目的であれば…
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