所有と経営と運営

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今日は 2021年7月1日です。

所有と経営と運営
 昨年から携わってきたあるプロジェクトが、いま難しい岐路に立っています。

行政の大型開発計画に連動した温浴施設の新規開発で、施主としてはもはや中止や撤退の選択肢はないような段階なのですが、このコロナ禍でいったんはGOでまとまったはずの役員会の意見が分かれているのです。

コロナ禍で先が見通せない中、投資額を大幅に減額すべきではないかということなのですが、その方法として施設プランの一部の要素をごっそり削り取るような議論になっているのです。

それはとても危険な議論で、このまま行くとプロジェクトは頓挫か失敗してしまうだろうと危惧しています。

そう思うのはかつて実際にそんな経験をしたからです。

前職時代の仕事ですが、九州で最盛期には年間100万人の集客があった世界最大の室内ウォーターパークの経営がうまくいかず、海外の投資ファンドR社に買収され、その再建リニューアル計画のコンサルティングをしたのですが、その時の議論がまさに同じでした。

投資家は、売上予測を見て、期待される利回りや投資リスクを計算して、投資額を抑制したいと考える。それは自然な発想であり、そのこと自体に異論はまったくありません。

しかし、一番強い立場である投資家サイドが投資額抑制の方法論にまで乱暴に口出しすると、緻密に練り上げたプランや事業計画がバランスを失い、破壊されてしまうのです。

結局その屋内プールを主体としたウォーターパークを温浴施設に変身させるリニューアルが実行されることはなく、数年後に閉鎖、2017年に完全に解体されて更地となりました。

今でも時折、「あの時もし温浴施設化リニューアルが実行されていたら、どうなっていたのだろう。」と思い出すことがあります。考えても仕方がないことですが、投資家の圧力に抵抗できなかった自分自身の力不足を痛感した苦い思い出のひとつです。

以来、所有と経営と運営の関係性を気にするようになりました。

ひとりの経営者が施設をつくり、その現場運営にまでしっかり携わる場合は…

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