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今日は 2021年6月30日です。

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 温浴施設には、「作ったキャパシティ以上の集客はできない」という特性があります。

脱衣から洗体、入浴という一連の行動に少なくとも1時間。じっくり入ったり再入浴をすると入浴だけでも1人2時間くらいは脱衣ロッカーを占有します。

館内着に着替えてのんびりとリラックスタイムを楽しめば、半日以上滞在となることも珍しくないでしょう。

用意されているロッカーが100%埋まったら、それ以上はいくら集客しても入館待ちの行列になってしまいます。

これはロッカーだけの問題ではなく、洗い場、浴槽、サウナ、休憩スペースの収容人数、さらにフロントの処理能力や駐車場台数まで、すべてに関わってきます。

1日最大客数 = 満館収容人員 × 回転数

温浴施設は、この計算式を超える集客はできないのです。

当たり前のことなのですが、今さらどうしてこんなことを書いているかというと、最近商業的な価値が高い立地で温浴施設をやろうとする話が増えているように感じるからです。

商業的価値が高い立地というのは、例えば銀座の一等地。坪単価で4億円とかビックリするような価格で取引されていますが、それは活用方法によってはその不動産価値があるということであり、温浴ビジネスではどう逆立ちしても成立しません。

そういう立地は、ブランドビジネスの旗艦店とかショールーム、あるいは政治家の先生が豪遊するような店に任せておけばいいのです。

一般的な不動産の商業的価値と、温浴ビジネスの好適地は全く異なります。

言い方を変えると、不動産価格の低い立地で集客に成功してこそ、温浴ビジネスとしての醍醐味があるということです。

周辺人口がたっぷりいて、人が集まり、アクセスが良く、目立つ場所で温浴施設を繁盛させても何の自慢にもなりませんし、キャパシティで客数の上限が決まってしまうのに不動産コストが高いため、経営的には苦戦することになるでしょう。

世の中には「家賃減額交渉代行」なんていう商売をしている人もいて、そのことにも以前ビックリしたものですが、普通はいくら経営改善努力をしても、不動産コストだけはどうにもならないものです。温浴コンサルタントも出番がありません。

ですので、「不動産の商業的価値が高い場所で、温浴ビジネスなんてやらない方がいいですよ」ということは、先に言っておきたいと思います。

人口が少なくて、周辺に何もなく、目立つ場所でもない。公共交通機関も不便。そんな立地条件でも、眺望や水が素晴らしかったり、とびきりのおもてなしでリピーターをじわじわ増やしていき、いつかはキャパシティの上限に近い集客を実現する。

それこそが温浴ビジネスの醍醐味であり、役割でもあると、少なくとも私は思っています。

役割というのは、地域のコミュティの場であったり、健康増進、あるいは地域振興、雇用創出といったことです。

不動産価値の低い場所は、たいがい過疎地であったり、交通不便、医療や公共サービスは不足し、気候も厳しいといった悪条件が重なっており、いずれは自治体消滅などと言われています。

そんなところでも、温浴施設ならプランニングや経営手法によっては成立できる可能性があるということに、大いに夢を感じるのです。

(望月)

※温浴施設の成立可否診断のご案内 → https://bit.ly/3w6OWE8

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