中古物件のチェックポイント

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今日は 2021年6月19日です。

中古物件のチェックポイント
 昨年から続くコロナ禍の影響で、温浴施設が閉店する(売却)という話が各地で散見されます。

大抵は資金力のありそうな企業と、近隣で温浴施設を運営しているところに声がかかりますから、みなさんのところにもそういった話が舞い込んでいるところかも知れません。

いま、温浴施設を新たに建築しようとすると、坪あたり建築コストで@200万円以上かかってしまうことが珍しくありません。

新築は500坪でも10億円以上となってしまいますから、気軽に手を出せる事業規模ではないのですが、事業者が撤退した中古物件の場合は格安で手に入るケースもあります。

簿価残を買い取って欲しいといった話だと、新築の9割引きくらいの価格で買えてしまう可能性もありますから、旨味がありそうです。

しかし、そこには危険も潜んでいます。

いつも書いているように、温浴施設は長期に渡って営業してこそメリットが出てくるビジネス。初期投資の返済が終わっていればそこからが儲けになっていく筈なのに、手放すというのは何かよほどの事情があるということです。

よくあるのが、業績が芳しくなく、あまり利益が出ていなかったケース。

10年以上経過した施設は建物の大規模修繕や大型設備の更新が出てきますので、多額の追加投資が必要となってきます。そこに不動産契約の切れ目が迫ったりすると、そのタイミングでギブアップとなるのです。

そういった物件は取得額が安くても、追加投資が避けられません。

例えばよくある500坪のスーパー銭湯で、設備と内装をリニューアルしたら、坪当たり50万円以上のコストが必要になるのはざらですから、5千万円で取得したのに追加投資が2.5億円で、いきなりマイナス3億円からスタートということにもなりかねないのです。

3億円を健全に10年以内で投資回収しようとしたら、年間3千万円以上のキャッシュフロー(利回り10%以上)を生み出さなくてはなりませんが、さらなるメンテナンス費用や設備更新も次々と発生する中で、果たして500坪の中古スーパー銭湯にそれができるかどうか。冷静に見極めなくてはなりません。

そして、いつか事業が終了した時には建物の解体撤去(原状復帰)があります。これも坪あたり10万円から、不利な条件が重なると坪あたり30万円かかることもあります。前述の500坪スーパー銭湯なら5千万円から1.5億円ですから、この費用も内部留保しておかなければ、最後に事業精算して赤字ということになってしまいます。

新築なら10億円の施設が中古で5千万円だったとしても、旨味のある買い物かどうかは分かりません。

5千万円の買い物だったら、例え失敗して全額失ってもなんとかなる、と思って安易に手を出すと、実は5千万円では済まない可能性があるのです。

どうしたら良いのかというと、金額だけ見て契約を決める前に、冷静に判断材料を揃えることです。

まず、以下の6項目。
□ 建築、設備図面の入手と施設の現状確認
□ 判明している要修繕箇所と費用の確認
□ 建築基準、消防、保健所等の指導に適合しているか確認
□ 過去の法定点検、メンテナンス履歴情報の確認
□ 過去の損益計算書、営業日報で収益性を把握
□ 売買契約内容の法的チェック

ここまではお知り合いの建築士や税理士と相談しながら進められると思います。上記資料が揃わないような案件はかなり要注意です。

この段階で情報を整理して、計算してみたら十分な黒字が見込めるという話なら良いのですが、世の中そんなうまい話しはまず転がっていません。

従前の収益性のままでは…

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