ゆいる初訪問

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今日は 2021年6月11日です。

ゆいる初訪問
 3月にオープンした川崎市の「朝日源泉ゆいる」、アクアプランニングさんの設計ということで、オープン前から苦労話はいろいろ聞いていたので、早く見に行きたいと思っていたのですが、業務多忙のためなかなか時間がとれず、ちょうど3ヶ月目にようやく初訪問しました。

元は創業から71年続いた銭湯「朝日湯」さんが、戦略を大転換してゼロから総合型温浴施設に建て直したという、温浴業界では珍しい経歴の施設です。

銭湯とその他公衆浴場は法的に区別されており、同じお風呂屋さんではあっても経営構造は全く違います。銭湯からその他公衆浴場に生まれ変わるというのはとてもハードルの高いチャレンジで、清水の舞台から飛び降りるような話なのです。

そんな経緯を聞いていましたので、一体どんな施設になったのかと興味深々だったのですが、とにかく圧倒されました。

元々銭湯が建っていた敷地ですから、広くありません。3階建ての施設面積は300坪足らず。しかしその内容は大型温浴施設に勝るとも劣らない要素がギュウギュウに詰め込まれているのです。

単にバリエーションが多彩というだけでなく、今の温浴ファンが求めているツボをキッチリおさえています。

サウナはオートロウリュとアウフグースイベントどちらにも対応。

アウフグースは五塔熱子さん仕込みの本格的な技術。

水風呂は水深150cm、水温13度で潜水OKというサウナー垂涎のスペック。関東でもトップクラスでしょう。

炭酸泉は31度の低温設定で二酸化炭素濃度1500ppm。これも普通の設定とは違いますが、強冷の水風呂の後に入ると、外気浴で休憩しているかのような心地よさでした。

一般的に人工炭酸泉は37度くらいのややぬるめの設定にしていることが多いのですが、天然の炭酸泉は大抵もっと温度が低いのです。有名な大分県長湯温泉のラムネ温泉も32度くらい。それに近い設定で、これからは同様の温度帯にした本格志向の低温高濃度炭酸泉が増えてくる先駆けになるのかも知れません。

あつ湯とぬる湯の2種の温泉浴槽はヨウ素臭のあるアルカリ性の強塩泉。特徴ある泉質ですが、消毒に次亜塩素を使わず、モノクロラミンを使用することによって、素晴らしい泉質が活かされています。温泉ファンも納得でしょう。

露天風呂はありませんが、外気導入スペースがあり、インフィニティチェア設置。しかも天井には扇風機が回り、チェアを洗い流せるようカランも設置されています。

細部に、少しでも満足度の高い施設を作ることにこだわったオーナーさんの意志が感じられます。

インフィニティチェアでくつろいでいると、先ほどアウフグースを担当したスタッフさんがやってきてタオルで風を送ってくれるのもおそらく熱子さん仕込み。もう至れり尽くせりという感じです。

浴場以外のフロアも全部同じで、多彩で高品質な要素がバランス良く収められています。

限られたスペースにいろいろな要素を詰め込もうと欲張り過ぎると、普通はどうしてもひとつひとつが小さく狭くなってしまい、快適性が損なわれたり、かえってチープになってしまうものです。

しかし、それがないのです。無駄なスペースが一切なく、ギリギリのミニマムサイズでありながらグレード感や快適性のバランスを保っているのは設計の腕としか言いようがありません。さすがです。

結果的に、わずか300坪足らずの小規模温浴施設で、都市型スパかと思うような素晴らしい満足度とグレード感を実現させているのです。男性専用サウナであれば小規模でもハイグレードな施設はありますが、300坪以下で男女両用だとどうしても千円以下の入館料になってしまうのが普通でしょう。

普通じゃない施設を、いち温浴ファンとして堪能させてもらい、リピート決定!と思いました。

ところで、温浴コンサルタントとして気になったのは…

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