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今日は 2021年5月17日です。
◆後悔
信賞必罰という言葉があります。
功績のある者には必ず賞を与え、罪をおかした者は必ず罰する。
それは組織運営の基本原則であり、幾多の歴史物語も、偉大な経営者も、大体そのように語っています。
この言葉を見るたびに、ひとりの女の子のことを思い出すのです。
私が温浴施設の現場運営責任者をしていた時に、その子は学生アルバイトとして入社してきました。
明るくユーモアのある性格で笑顔が可愛く、きっとお客さまからも人気になるだろうと考え、レストランのホール担当に配属しました。
期待通りの活躍をしてくれていたのですが、ある時事件が起きました。
その子が店に友達を呼んで、注文を通さずにドリンクやデザートを大盤振る舞いしてしまったのです。
他のスタッフから報告があがってきてそれが発覚したのですが、当時の私には辞めてもらう以外に選択肢はありませんでした。
辞めてもらうと言っても学生アルバイトですから、解雇といった大袈裟な話ではなく、もうシフトに入れないということですが、それで一件落着となりました。
しかし、この出来事がずっと心にひっかかっています。
当時は開業間もない組織で、まだモラルも社風もできあがっていない時期でしたから、甘い処分をしたら、社内から舐められて再発を招いてしまうかもしれません。
可愛い女の子だから温情をかけたとか思われたら、組織の統制はとれなくなります。
そんなことを考えると、信賞必罰で行くしかなかったのです。
しかし、仕事先を不正で辞めさせられた経験は彼女の心に傷をつけ、人生に暗い影を落としてしまったかも知れません。
私のことを恨んでいるかも知れません。
他に方法はなかったのだろうかと、今でも考えるのです。
まだ世間知らずの未成年なんだから、採用時にもっとしっかり教育すべきだった…。
人は誰でも間違いをおかすもの…。
彼女が友達に振る舞ったメニューの原価や無駄な労働時間の損失を取り返そうとしたら、皆がどれだけ余計に働かなければならないのかを社内全体に説明して、社内の意識向上の機会としつつ、一回だけ不問にする方法もあったのではないか…。
今の自分ならどうするだろうか…。
そんなことをモヤモヤ考え続けていますが、答えは分かりません。
ただ、当時の自分に辞めてもらう以外の選択肢がなかったのは、自分自身に余裕がなかったからだと思います。
本人と、あるいは組織内でその問題についてじっくり話し合うこともせず、安易に信賞必罰を…
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