おてんとうさまが見ている

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今日は 2021年5月7日です。

おてんとうさまが見ている
 「もしも、自分がそれをしなかったら、この人の運命はまったく変わっていたのかもしれない」と思う時があります。

分かりやすいのが温浴施設の開発の仕事です。立地診断から始まって、開業準備、オープン後軌道に乗るまで全面的にサポートしますが、その過程でスタッフの採用があります。

面接に立ち会って採用に口を出したりするのは、その人の人生を変えることになるかも知れません。

さらにその職場で出会ったスタッフ同士が恋愛して子供が生まれたりすると、ひとりの人間をこの世に誕生させた責任を感じて震えてしまうのです。

 昨日は、古いお付き合いである荻窪のなごみの湯さんで「のちほどサウナで」(北陸放送)の収録があり、サウナ大好き芸人のマグ万平さんにお会いしました。

マグ万平さんはサウナ好きが高じてサウナでアルバイトまでしてしまったという人なのですが、そのサウナとは笹塚のマルシンスパ。弊社が2014年の大規模リニューアルをお手伝いした施設です。

お会いするのは初めてだったのですが、そのエピソードには少なからずご縁を感じていました。

万平さんとお話ししていて、当然マルシンスパの話題になり、水風呂作り直し事件やセルフロウリュ導入の経緯などを話したのですが、その後、サウナ室の前にある白い2脚の椅子の話になりました。その椅子とは究極のととのいチェア、エスタンザ。

思い出してみれば、それはニュージャパンサウナSpaPlazaの露天に置かれていたのですが、日本では手に入らないと聞いて、私がコンサルタント業だけでなくもっと仕事の領域を拡げたいと思ったきっかけのひとつでした。

その後独立して弊社でエスタンザを扱えるようになり、マルシンスパに設置することになったのです。あのサウナ室の規模に見合わないパワフルなikiストーブも、日本で最初に導入した施設はニュージャパン。

言ってみれば、マルシンスパにはニュージャパンサウナの血が脈々と流れているのです。

それを思い出した時に、フッと心が軽くなりました。

熊本湯らっくすの冷やしタオルもアウフグースもニュージャパン。浴室全部外気浴は箱根の天山からの遺伝子です。

私のせいで誰かの人生が変わってしまったのかも知れない、という考えは独りよがりで、本当はもっと大きな流れの中で、たまたま私がそのつなぎ役を果たしたに過ぎないと思ったのです。

温浴施設経営に人生を賭けることになった経営者の方々も、各地で活躍するアウフギーサーの人たちも、露天風呂でととのったー!と言っているサウナーの皆さんも、元を辿っていけばすべてが何らかの形で先駆者の影響を受けているのです。

途中で私がちょっと介在したというだけのことだと考えると、もし私がいなくてもきっと誰かがやったことなのだろうと思えます。

そして、そのニュージャパンサウナにも源流があります。

戦後復興期、大阪でキャバレーを経営していたニュージャパン観光の創業者中野幸雄氏は、ホステスさんたちの生活や未来のことを考えて新しい事業を模索していました。

そして中野氏は東京出張の際に銀座6丁目にあった日本初のサウナ「東京温泉」と出会うのです。これや!と感じた中野氏は大阪に戻り自社の経営資源と融合させた独自のサウナ施設「スチームバスセンター」を開設します。私もまだ生まれていない1952年のことです。

ニュージャパンサウナ誕生のきっかけを作った東京温泉は1951年に開業し、1993年に閉店しています。
https://bit.ly/3b82wQ1

東京駅の八重洲地下街にあった2号店の東京温泉ステーションプラザ 東京クーアは私も何度か利用したことがあるのですが、銀座の東京温泉本店は残念ながら利用したことがありません。

日本で最初のサウナはどんな内容だったのか、経営者の許斐氏利という人はどんな人物だったのか…。今となっては正確に知ることは叶いませんが、聞きかじりの話やネット情報から温浴の歴史に想像を巡らせています。

私たちは長い長い歴史の中の一瞬を生きています。コロナだろうが何だろうが、焦ることなどないのです。おてんとう様が見ている。それでいいのではないでしょうか。

万平さんの肩の力を抜いたトークのおかげで、私の心も少し楽になった気がします。

(望月)

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