温度調整とは商圏の調整

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今日は 2021年4月23日です。

温度調整とは商圏の調整
 蔵王温泉での打ち合わせの後に、この地域には珍しくサウナに力を入れている施設が昨年7月にできたと聞いて、帰り道に立ち寄ってみました。
https://kogenyu.com/

蔵王からは車で20分ちょっとの距離ですから日帰り商圏としては充分に競合する範囲にあります。

天下の名湯である蔵王温泉街と「温泉」で競争しても、差別化するのは至難の技でしょうから、サウナに注力する考え方は理解できます。

そう思いながら施設を訪れたのですが、想像をはるかに上回るサウナに絶句しました。

施設の外に予約制のサウナ小屋が設置されており、ちょうど予約のお客様を迎える準備中だったのですが、薪ストーブ、曲面のベンチ、エッセンシャルオイルを垂らしたセルフロウリュ用の水、インフィニティチェア、一人用水風呂…各地に急増中のアウトドアサウナの中でもかなり充実した内容です。

浴室サウナはどうだろうかと入ってみると、温度は90度以上の高温設定で、そのままでも充分な体感があるところなのに、サウナストーブの脇にはバケットとラドルが置いてありセルフロウリュ可能。

ベンチは部屋全体の空気が対流するようスカスカの造りで、内部に間接照明。

マットはタオルマット+ビート板。

ドライのままでもしっかり加温発汗できたところでセルフロウリュをしてみれば、勢いよく蒸気が発生してさらに強烈な熱さになります。

這々の体でサウナ室を抜け出し、深い水風呂に入ってみれば、キンキンの12.5度がかけ流しでじゃんじゃんオーバーフロー。

外気浴のためだけの露天スペースにはADAMSのガーデンチェアが並んでいます。

要するに、とんでもなくヘビーユーザー仕様のサウナ環境だということです。

高源ゆは「アスリートのためのリカバリー温泉」という非常に尖ったコンセプトの施設なのですが、その中でもサウナのセッティングは尖りまくっています。

健康で身体頑健なアスリートのための仕様だからそうなったということもあろうかと思いますが、私が感じたのは商圏戦略との整合性です。

高源ゆのある山形県上山市蔵王坊平というところは、宮城県と山形県をつなぐ蔵王エコーラインという山道の途中にありますから、一般的に温浴施設にとっての日常リピート圏となる10分圏、20分圏にはほとんど人が住んでいません。必然的に30分圏以遠の超広域からの集客が必要となります。

サウナは80度台、水風呂は18度前後とするのが最も一般的なセッティングです。人によって好みは異なりますが、最も広く万人受けを狙うならそのくらいの温度設定が最大公約数ということです。

しかしヘビーユーザーになると要求は過激化し、より熱いサウナ、冷たい水風呂を求めるようになります。施設としてはマニア受けばかりを狙って過激な温度設定にしていくと、一般客や入門者にはハードルが高いサウナ環境になってしまうので、なかなかできません。

結果として、ヘビーユーザーは…

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