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今日は 2021年3月31日です。
◆総額表示のインパクト
明日からの新年度に合わせて、本体価格と消費税額を合算した「総額表示義務」が正式にスタートとなります。
すでに2004年4月から総額表示義務は定められていたのですが、2021年3月31日までは「消費税転嫁対策特別措置法」による特例期間として、必ずしも総額表示をしなくても大丈夫だったのですが、いよいよ明日からは例外なく総額表示せよ、ということです。
実を言うと弊社も、WEBサイトから印刷物まですべてとなるとまだ価格表示方法にバラつきがありますので、今日はその対応に追われそうです。(汗)
総額表示義務に違反したらただちに罰則があるということではないので、しばらくは企業や店舗によって対応が違うかも知れません。
しかし、税抜表示のままだと罰則がなくてもコンプライアンス的には問題がありますし、ユーザーとのトラブルになってしまう可能性がありますので、手間やコストがかかっても、もはや全面的に税込表示に切り替えるほかないでしょう。
従来使用されてきた、「780円(税抜)」「780円(本体価格)」「780円+税」などは、すべてNGとなり、今後は「858円」「780円(税込858円)」「858円(税込)」といった表示方法になります。
この流れには従わざるを得ないわけですが、そうなるとこの機会に価格設定の見直しをしなければならない可能性があります。
ひとつは、10円未満の価格設定を廃止するということです。
支払う側としては1円単位の価格は分かりづらいですし、小銭を数えるのも面倒です。店側も計算やつり銭の用意などあらゆる場面で少しずつ効率を下げていますから、今後は10円未満の端数が発生しない価格にしてしまった方が賢明でしょう。
もうひとつは、料金体系そのものの見直しです。
780円でなく858円という価格だと、お得感や分かりやすさという点で意味がなくなってしまいますので、端数を切り上げ860円とするか、切り捨てて850円とするか。どうせなら800円、900円といった単純な金額に変更するか…。
しかし、ここで考えなければならないのは、予算帯の分岐点です。
780円という価格設定は、500円予算帯(400〜799円)の上限に近く、1,000円予算帯(800円〜1,799円)には入らないという意味がありました。
ところが858円だと1,000円予算帯に入ってしまっています。無理して税込780円に下げて500円予算帯にとどまるのか、それとも1000円予算帯の中で、もう一度料金設定を考え直すのか。
この問題は、売店の商品や飲食メニューひとつのことだったらそこまで深刻に悩まないのでしょうが、温浴施設の入館料に関しては非常に大きなインパクトがあります。そして、実際に今この問題に該当する温浴施設は少なくないのです。
500円予算帯の温浴施設は、基本的に入浴料という位置づけであり、館内着やタオルはつけませんし、アメニティもシンプルなもので良いのですが、1,000円予算帯となるとそうも行きません。
1,000円予算帯では館内着やタオルを提供する施設が多くなりますし、アメニティもそれなりのグレードになってきます。入浴料ではなく入館料と位置付ける施設が多くなります。
予算帯がひとつ変わることで、業態の違いまで考えなくてはならない可能性があるのです。
そして予算帯によって競合する施設との力関係も違ってきますし、価格変更したことで客数に影響があった場合、利益はどう変わるのか…。
こうなってくると、価格表示変更の手間やコストなどといった小さな問題ではなく、経営的に非常に大きな影響があるでしょう。
判断の難しい複雑な問題ですが、価格の上げ下げで迷った時は…
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