お墨付きは要らない(2)

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今日は 2021年3月27日です。

お墨付きは要らない(2)
 前回の記事で書いた「ガイベン・ヘルツベルグの法則」は、実は以前にも一度メルマガ第120号「格安で天然温泉を掘削する方法」(2016年6月21日執筆)でも書いていますので、古くからの読者の方は記憶の片隅にあったかも知れません。

気がつけばもう5年も前の記事なのですが、読み返してみると自分の考え方の変化に驚きました。

当時は、井戸の掘削なら数十万円から数百万円の費用であるのに対し、一方温泉の大深度掘削をすると一桁も二桁も違う費用が必要となるという点に着目しており、格安で天然温泉の看板を得る方法としてこっそりご紹介していました。

つまり、お墨付きを得ることは重要であり、極端な言い方をすれば天然温泉の看板さえあれば温浴事業はうまく行きやすいですよ〜♪とおススメしているわけです。

今見ると、何と浅はかで小賢しいことを書いているのかと、ちょっと恥ずかしくもなりますが、当時はまだそういう時代だったということです。

消費者も、天然温泉なのか、井戸水や水道水の沸かし湯なのか、といった表面的な要素で温浴施設を評価する人が大多数でしたし、実際のお湯の質がどうであれ、お上のお墨付きさえいただいてしまえば、確実に入館料設定や集客力のプラス要素になっていたのです。

経営的にプラスになることであれば、コンサルタントとしてその情報を提供するのは当たり前のことなのですが、5年の間に風向きは完全に変わったということなのでしょう。

天然温泉の看板に甘えて、利用者満足の追求を怠った施設は集客力が弱くなり、逆に天然温泉ではなくても、繁盛する施設が続々登場する時代になっているのです。

このメルマガも、同じようなことを繰り返し書いていることがあると自分で気にしていたのですが、時代に合わせて少しずつ変化しているということで、ネタが一巡したらまた同じネタで書いても良いのかも知れません。

ところで、「温泉の純化」という話の続きですが、その温泉が持つ本来の良さを最大限発揮するというのは、言葉で言うのは簡単なのですが、実際に取り組もうとするととても難しい話になります。

しかし、何はともあれ、まずは自社の源泉が持つチカラを知ってほしいと思います。

温泉の掘削に成功した時は、試験揚湯と言って、源泉位置その場で温泉をジャバジャバと汲み上げて垂れ流しにします。温度も濃度も調整されておらず、消毒も何もしていない状態ですが、できたらそのような湧きたての新鮮な生源泉状態で入浴して欲しいのです(高温の源泉は無理ですが)。

肌触り、熱、匂い、味、色…。全身に感じるそのチカラは、現在営業状態で浴槽に満たしている温泉とはだいぶ違うのではないでしょうか。

これまでの経験則では、成分に特徴があり良質とか名湯と言われている温泉よりも、どこにでもありがちな普通の温泉の方が意外とギャップが大きいようです。

理屈や成分分析では言い表せないその違いこそが、温泉の純化の可能性なのです。生源泉と浴槽とのギャップを埋め、考え得る最高の状態で源泉のチカラを提供することが、温泉施設経営者の重大な使命であると考えます。

安全衛生、保健所の指導、水光熱費、人件費、消耗品費、設備改修投資…いろいろな難題が立ちはだかり、その答えは源泉ごとに違うでしょう。よく言われる循環vsかけ流しといった単純な話ではないのです。

お墨付きも固定観念も捨てて、全国2万8千箇所の源泉がそれぞれ考え得る最高の状態で活用されるようになれば、日本はもっと幸せな国になれるに違いありません。

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