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今日は 2021年3月24日です。
◆館内出張マッサージ自由自在(1)
出張マッサージといえば、普通はホテルや旅館に泊まった時に客室に来て施術してもらうサービスを思い浮かべますが、今回はその話ではありません。
これを考えたのは今から15年くらい前なのですが、北京や上海で温浴施設を体験する機会があり、その時にリクライナーの休憩コーナーで利用者が足裏や肩などの部分マッサージをやってもらっているのを見たのです。
近くで気持ち良さそうに施術を受けているのを見て羨ましくなり、自分もやってもらいました。
その時の体験から、「リラクゼーションサービスは施術室でなくともできる」ということを知りました。一般的に日本の温浴施設では、ボディケアや足裏、エステなどのリラクゼーションサービスに関しては、施術室があり、そこで受けることになっています。
施術室は静かで落ち着ける環境や空間アロマがあったり、施術台やタオルなどの備品などが揃っていますので、リラクゼーションサービスに適した環境であることは間違いないのですが、よく考えてみると足裏だけ、頭や肩だけといった部分マッサージなら専用の施術台がなくてもできるのです。
このメリットは、隣でやってもらっている人を見て羨ましくなり、注文が注文を呼ぶという現象が期待できるということと、施術台の台数というキャパシティを超えて注文を受けることができるということです。
通常、温浴施設を設計する時は、1日あたり来館者数を予測し、さらにリラクゼーションサービスの利用率から1日の最大利用人数を計算し、施術台1日1台あたり施術可能人数で割って、必要な施術台数を求めます。
来館者1,000人×利用率4%÷1台あたり8人なら5台必要、といった計算です。
いったん5台と決めて、5台が収まる施術室を設計したら、もし将来人気が出てリラクゼーションサービスを受けたい人が予想以上に増えても、施術台を増やすなどの融通はあまりききません。
逆に不人気だと、5台設置した施術台が遊んでしまい、無駄なスペースの使い方をしてしまった…ということにもなります。
こうしたことも、温浴施設の設計の難しさのひとつです。
しかし、休憩コーナーへの館内出張で施術ができるなら、こうした悩みはなくなり、施設の集客が増減したりリラクゼーションサービスの人気が変化しても、セラピストの人数を調整することで対応が可能となるのです。
「中国式は画期的だ!」と気づき、当時携わっていた温浴施設で導入を試みました。リクライナーコーナーにプチサービスのメニューブックを設置し、部分マッサージだけでなくドリンクやデザートのオーダーによる客単価アップも狙いました。レストランの客席キャパシティも超えたいと考えたのです。
しかし、思ったほどの成果を上げることはできませんでした。
その最大の理由は、オーダーの難しさです。
通常のリラクゼーションサービスは受付で予約を受けます。施術台が埋まっていたら、「40分コースなら次は30分後から可能ですが」などとやりとりして、うまく予約表を埋めて行くわけですが、施術室を離れた場所ではこの予約管理が難しいのです。
当時は近くに居合わせた館内巡回スタッフがご要望を承って、内線電話で施術室に伝え…といったオペレーションにしていたのですが、いつも近くにスタッフがいて目配りしているわけではありませんし、オペレーションも煩雑でした。
繁忙日だけでも休憩コナーに常駐スタッフを配置してみたりといったことも試みましたが、中途半端でした。
中国の温浴施設は、人件費が安いためか無駄にたくさんのスタッフを配置していますので、そのような問題が起きにくかったようです。
成果が上げられなかったという体験に懲りて、最近は館内出張マッサージについてはあまり積極的に考えないようになっていたのですが、ここへきて状況が変わってきました。
その理由はIT技術の進歩にあります。(続く)
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