サウナマットの限界

(リネン室にうず高く積みあがった使い放題のタオルの洗濯物)

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今日は 2021年3月23日です。

◆サウナマットの限界
 日刊サウナ2021年2月15日号に「コロナがサウナを変える」という記事を寄稿させていただきました。
https://d-sauna.com/news_articles/20210215/

コロナ禍において、ディスタンス確保の必要性から、座る位置を示すためにサウナのベンチに対して縦方向に間隔を開けてサウナマットを敷くスタイル定着したということを書いたのですが、その結果、いま新たな問題が起きています。

それはサウナマットの濡れ問題。

サウナマットは汗を吸い取るために敷いているので、お客さまが何人も使用して汗をかけば濡れてくるのは当たり前なのですが、かつてはマットを定期的に交換することで、清潔感や快適性はある程度保たれていました。

マット交換頻度が低くいつまでも濡れたマットが敷きっぱなしだと、不評を買ってしまうのは昔から同じなのですが、その問題を何とか解決しようといくつかの対策が考え出されました。

ひとつはマット素材の変更というアプローチ。昔から使われている黄色いタオル地のマットだと乾いている時の肌触りは良いものの、汗を含むと一気に不快感が強くなりますので、交換頻度を多くしなければなりません。その問題を緩和するために、絨毯のような素材のリポスマット、あるいは濡れた時の肌触りや抗菌性、速乾性などを改善した高機能マットと呼ばれる製品が開発されました。

・タオル地マット
https://www.yokujoichiba.jp/shopdetail/000000001778/

・リポスマット
https://www.yokujoichiba.jp/shopdetail/000000001756/

・高機能マット
https://www.yokujoichiba.jp/shopdetail/000000001016/
https://www.yokujoichiba.jp/shopdetail/000000001900/
https://www.yokujoichiba.jp/shopdetail/000000001170/

これらの対策によって、この15年くらいはサウナマットの世界は平穏で安定していたのです。

しかし、昨今の急激なサウナ人気の高まりによって、その安定が崩れてきました。

ひとつは、加湿型サウナの普及と温度セッティングによって、1人あたり発汗量が多くなったということがあります。落汗の様子を音で表すなら、「ポタン、ポタン」だったのが「ポタポタ」になり、そしてよく汗をかけるサウナでは「ボタタタターッ」という感じになります。汗をかきにくいサウナと汗をかきやすいサウナでは発汗量が何倍も違うのです。

そしてサウナ人口の急増。一部のオヤジさんだけが利用していたサウナの魅力が広く知られるようになり、女性から若者まで、この数年でサウナ人口は倍増以上の勢いで増えています。

一方でコロナ禍によるサウナ室の収容人数制限のため、サウナファンが多い施設ではお客さまが入れ代わり立ち代わり、サウナ室は常に満員状態です。

その人たちが1度の入浴で何セットもサウナに入り、水分補給しながら汗をかきまくるので、1枚のサウナマットが吸収しなければならない汗の量は以前とは比べ物にならないほどに増えているのです。

その対策として、1人用サウナマットがあります。かつてはニュージャパンサウナなど、贅沢さを売りにする施設で主に採用されていたものですが、サウナ室に小さい1人用マットを積み上げ、お客さまが利用する都度未使用のものを使えるというものです。これなら濡れたマットが敷きっぱなしになるということはありませんし、スタッフがマットを敷き直す作業はありません。

しかし、サウナ人口が増え、1人がサウナ室を利用する回数が増えると、これも大きな負担があります。

仮に平日500人が入館する温浴施設で、半数がサウナを利用すると250人。その人たちが3セット×(お尻+足に敷くために2枚)とすると、1500枚のマットが消費されます。繁忙日なら4500枚。これを運搬、洗濯、乾燥するとなると、とんでもない負担なのです。

・1人用サウナマット
https://www.yokujoichiba.jp/shopdetail/000000001887/

「ビート板」と呼ばれる樹脂製のマットを設置している施設も増えてきました。樹脂製マットですから、吸水性はありませんが、落ちる汗が一か所に集中せず分散させる働きがありますし、他人がかいた汗で濡れたマットの上に直接座る不快感を回避することができます。とはいえ、サウナ室に残される汗の量は変わりませんので、緩和ではあっても解決にはなっていません。

・ビート板
https://www.yokujoichiba.jp/shopdetail/000000001389/

お客さまの快適性、満足度、清潔感、スタッフの作業負荷、洗濯乾燥の負荷、ベンチ板の傷み…様々な要素のせめぎ合いですので、なかなかスッキリと問題解決に至りません。

ヨーロッパでは各自がバスタオルを持ち込み、腰に巻いたりベンチに敷いて使うので、ベンチを汗で濡らすことがありません。サウナベンチに自分の汗を残さないことがエチケットにもなっています。

ところが、湯とサウナが共存する日本の温浴施設では、浴室でバスタオルを使用しづらいという事情があります。浴槽が多い環境でバスタオルを使えば、濡れたバスタオルを浴室内で常時持ち歩かなければならなくなり、煩わしいのです。

びっしょり濡れたバスタオルでは、サウナベンチも濡らしてしまうことにもなります。バスタオル方式は、浴槽が少なくてドライな浴室環境が向いているのです。

浴室に持ち込むのは手ぬぐい(フェイスタオル)で、サウナ室にはマットを敷くというのは、日本の温浴施設独特のスタイルだったと言えます。

しかし、今のスタイルのままでは…

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