清掃メンテナンスの基礎知識

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今日は 2021年3月13日です。

清掃メンテナンスの基礎知識
 昨日は調査で複数の温浴施設を終日巡っていたのですが、施設のスペックの差以上に浴室メンテナンスレベルの差が気になりました。

温浴施設づくりに慣れた設計会社が担当した施設の場合は、初期段階での問題はあまり起きませんが、経験の浅い設計会社だと安全衛生、ユーザビリティ、省エネ、人員効率、耐久性、メンテナンス性などに多くの問題を抱えてしまうことになりがちです。

また、ノウハウのある会社が運営している施設は、設計上の初期問題があってもうまく修正し、長期的な老朽化もメンテナンスで対処しています。

開業間もない施設で起きるトラブルはだいたい設計・施工上の問題と言えますが、問題を何年も解決しないまま営業を続けているとしたら、それは運営会社の問題なのです。

浴室問題のあるあるで、昨日も複数の施設で見かけた問題と対処法を書き出してみますと、

・浴槽の縁に磨き仕上げの石材を使用していて、濡れると滑る
 →大変危険です。滑り止めテープを貼ったり薬剤を塗布するのが最も手軽な対処法ですが、定期的にやり直しが必要です。恒久的な解決方法としてはサンドブラスターで表面を削ったり、カッターで筋を入れる方法がありますが工賃がかかります。最終的には笠木の素材を交換することになるかも知れません。

・浴室の床が滑る
 →表面が比較的滑らかな石やタイルが使われている場合、温泉や井戸水の成分、汚れなどの蓄積によって通常清掃だけでは滑るようになって危険です。酸性とアルカリ性洗剤による交互洗浄、滑り止めマット、防滑素材の塗布などの対処法がありますが、最終的には床材を交換することになるかも知れません。

・浴室全体の白っぽい汚れ
 →浴室の白っぽい汚れは水垢、エフロなどと呼ばれますが、ガラスや鏡面は特に目につきます。主な成分は炭酸カルシウムなので、基本的には酸性の薬剤で落とせるはずです。しかし、炭酸カルシウムは井戸水や温泉に含まれていたり建材から溶け出してくる継続的なものですし、他の成分結びついたり、蓄積するとかなり頑固で落としにくい汚れとなります。酸性とアルカリ性洗剤による交互洗浄、それでも取れない場合は研磨や削り落としが必要となり、下地を傷めてしまうことも。

・赤錆色の汚れ
 →赤錆色の汚れは水に含まれる鉄やマンガンによるもので、一般的に使用されている中性、酸性、アルカリ性、塩素、クレンザーなどの洗剤では落ちません。鉄・マンガン系汚れ除去剤が必要です。

・高所のカビ
 →湿度の高い浴室ですから、カビの発生は避けられません。手の届かない壁面上部や天井面が長期間放置されてカビが目に付く施設は少なくありません。休館日に脚立やノズルの長いスプレーを使って塩素系薬剤による洗浄をすれば、高所のカビ問題は解消できます。

・サウナ室内の汚れ
 →蓄積した汚れと熱による焼けによって、木材の壁面が焦げ茶色に変色します。均一な変色ならまだいいのですが、斑汚れになって見た目が悪いのです。キーバンドの鍵で削ると文字が書けるので、落書きも増えてしまいます。定期的な中性洗剤による水洗い→塩素漂白→ヒノキオイルなどによる手入れが効果的ですが、ほとんど放置したままになっているサウナ室が多いです。設計段階で水洗いを想定しておらず床に排水口がないサウナ室だとホースで水をかけたりできませんが、バケツと手洗いでも洗えないことはありません。

これらのような基本的な対処法と、浴室規模に応じて道具や機械、あるいはプロへの外注を使い分けることで、浴室は清潔で安全快適な状態を保つことができます。

日常清掃、定期メンテナンスは温浴施設経営の基本ですが、意外と情報がなかったり、疎かになっている施設が多いのも現実です。何かお困りごとがありましたら「浴場市場」(03-3524-2026)でご相談を承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

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