省エネ省コストは長期的重要課題

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今日は 2021年3月4日です。

省エネ省コストは長期的重要課題
 大きな扱いではないのですが、数日前のニュースで、

──2050年の温室効果ガスの排出量実質ゼロ実現のため、環境省が排出量に応じて企業に税負担を課す「炭素税」を本格的に導入する方向で検討していることがわかった。──

(読売新聞2021.03.01)

との記事がありました。

炭素税というのは欧州ではすでに本格的に実施されている税制で、化石燃料の使用=二酸化炭素の排出に対して課税するというものです。

日本では「地球温暖化対策のための税」が2012年から導入されていますが、経済界の反発もあって国際的に見るとまだ税率が桁違いに低い状態になっています。

日本の炭素税まだ検討段階ですが、二酸化炭素排出を抑制しなければならないという考え方は世界的な潮流であり、仮に日本の経済界が抵抗したところで抗うことはできません。

菅総理が去年秋の所信表明演説で、2050年にCO2排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指すと表明しましたが、世界的にカーボンニュートラル戦略を遂行していない国家や地域からの輸入品に対しては、懲罰的な輸入炭素税をかけるという方向に進みつつあり、輸出依存度が高い日本の経済構造を考えれば、自主的にCO2排出に規制をかけていくのか、それとも世界の市場から強制的に締め出されるのかという二者択一になってしまうのです。

このような流れの中で、温浴施設のような小さな事業単位にも直接CO2排出規制がかかるようなことになっていくかどうかはまでは分かりませんが、少なくとも電力や燃料のコストには間違いなく響いてくる話でしょう。

「省エネ対策についてはもうできることはやっている」と考えている温浴施設は多いのですが、詳しく聞いてみるとそれは業者に勧められてピーク電力を抑えるデマンドコントローラーや節水コマ、節水シャワーなどを導入したというようなことで、個別の環境に合わせた徹底的な省エネ対策ができているわけではありません。

昨年経営診断をさせていただいた築16年のある公共温浴施設では、高温で湯量豊富な源泉をかけ流しで提供していました。幸い下水道料金もかからない地域で、アルカリ性でつるすべ感のある新鮮な源泉の魅力からそれなりに集客もできていたのですが、経営的は赤字。

損益計算書と営業日報から赤字の原因を紐解いていくと、問題点が大量に見つかりましたが、中でも水光熱費がかなり高いということが分かりました。高温で湯量豊富な源泉がある上に下水道料金がかかなないのであれば、水光熱費はもっと低くなるはずなのですが、人件費と並んで支出の大部分を占めていました。

これはおかしいということで設備を拝見すると、高温の源泉はチラーで適温に冷ましてから浴槽に注いでかけ流し。一方でシャワーは上水道を使い、ボイラーでお湯にして提供しています。機械室で思わず「なんでこんなことに?」と言ってしまいましたが、温浴施設の経験が乏しい設計や設備業者が担当し、施主側にも知識がないと、こんな愚行も珍しいことではないのです。

これは極端な例ですが、チラーとボイラーは大抵の温浴施設に両方とも設置されていますから他人事ではないのです。

多くの温浴施設では大なり小なり、省エネ省コストの余地を抱えているもので、完璧に対策ができている施設の方が少ないと感じています。

コロナ禍をきっかけに、支出の見直しを進めている施設は多いと思いますが、省エネは一時的なコロナ禍対策ではなく、もっと大きな流れとして腰を据えて取り組む必要があります。今のままの設備構造では…

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