今こそ問われる演出力

有料メルマガ「日刊アクトパスNEWS」会員の皆様

今日は 2021年2月12日です。

今こそ問われる演出力
 ふと気がつけば、コンサルタント業を30年もやっているので、これまでに出会った経営者は何千人にもなります。温浴事業に携わる経営者だけでも千人は越えているでしょう。

温浴経営者といっても、中には意気込みだけはすごい若き起業家から、温浴事業とは別に大きな本業を持っている資産家までいろんな人がいたのですが、これまででおそらく最も大きな個人資産を持っていた人と話した時のことを思い出しました。

その人は某有名食品メーカーのオーナーさんで、超がつくワイン愛好家。飲むときは大抵肉料理に赤ワインでした。いろいろな店に連れていってもらい一緒に飲むうちに私もワインの味を覚えたのですが、ある時、「最もうまいワインは何か」という話題になりました。

どんな銘柄の名前が出てくるのかと興味津々で聞いていたら、その資産家は、
「銀座のバーで乾きものをつまみながらいかなる高級ワインを飲んだところで、うまくもなんともない」
「美味しい料理と、好きな人達との楽しい会話。そこで飲むワインなら、どんなワインだってうまい」

と話してくれたのです。

それ以来、私はワインの銘柄を覚えたり、無理して高級ワインを試してみようとは思わなくなりました。

1本数百円の安ワインと数万円の高級ワインは飲み比べてみればもちろん違いがありますが、所詮は味や香りの微妙なバランスが違うだけで葡萄を発酵させたお酒であることに違いはありません。

それよりも美味しい料理や楽しい会話と共に幸福な時間を過ごせることの方が大切と教わりました。

今は、感染拡大防止対策で「黙食」という公衆マナーが推奨されるようになり、席は離され、アクリルの衝立で遮られ、飲食店で楽しい会話を楽しめる状況ではなくなってしまいました。

楽しい食事時間が期待できないのなら、わざわざ自宅で料理する材料費の何倍も払って飲食店を利用する理由がなくなります。

むしろ、自宅でちょっと高級な食材やお酒を楽しんだ方が賢明だということになってしまうのです。

コロナ禍で、特に苦境に立たされているのが飲食店ですが、それは政府の要請や感染不安の為ばかりでなく、楽しめそうなイメージがなくなってしまったからでもあるのではないでしょうか。

默食や席離しや衝立で損なわれた賑わいや楽しさを、別の演出で補う工夫をしなければ、いくら料理が美味しくても、感染拡大防止を徹底しても、飲食店の売上は回復しないでしょう。

そして、温浴施設の飲食部門と街中の飲食店の差もそこにありそうです。

温浴施設で出てくる料理が、街中の飲食店と比べて高くて不味いのかというと、そんなことはないと思います。

しかし、思い返してみると私は温浴施設の飲食部門スタッフと仲良く会話した記憶がほとんどありません。

これまでの温浴施設の飲食は、楽しさを演出するという意識が決定的に弱かったのではないでしょうか。

楽しさとは、お客さま同士の会話だけでなく、スタッフとのやりとりであったり、料理長の蘊蓄であったり。

また、手際よく調理する手元を見せたり、テーブルで料理の最終仕上げをしたり…五感を刺激し演出する手段はいくらでもあるのですが、そこに意識して取り組んでいる温浴施設の飲食は…

---------
この記事は会員限定公開となっており、全文は表示されておりません。

メールマガジン「日刊アクトパスNEWS」をご購読いただくと、毎日全文がメールで届きます。

メールマガジンご購読のご案内はコチラです。

Share this...
Share on Facebook
Facebook
Tweet about this on Twitter
Twitter