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今日は 2021年1月23日です。
◆降りかかる火の粉
不特定多数のお客さまとお付き合いするのが温浴施設ですから、お客さまになってくれる可能性を、商売と関係ないところで失うわけにはいきません。
温浴施設に限ったことではないですが、客商売において特にタブーとされているのが、政治と宗教に関する話題です。
歴史を持ち出すまでもなく、人類は政治や宗教に絡んで多くの分断と対立を繰り返してきました。
社会を二分するような大きな問題に首を突っ込めば、一方のご機嫌はとれても、もう一方の支持を失ってしまいます。それが商売に直結したターゲット戦略であればいいのですが、政治や宗教は商売とは基本的に関係ありません。
ターゲット戦略として例えば女性客に絞り込むなら、その時点で商圏人口は半分になります。その代わりすべての女性客に支持していただくために施設やサービスのあり方を考え、情報発信の方法を工夫するのですから、そこに商売とは無関係な問題を持ち込んで避けられている場合ではないということでしょう。
横浜市の桜木町駅から少し歩いたところにある野毛という繁華街に、「福音喫茶メリー伝道」という気になる喫茶店があります。私自身はあまり信心深い方ではないので、特定の宗教に対して好き嫌いを思うわけではないのですが、それでもとっても入りづらい雰囲気です。もしかしたら店内はすごく雰囲気が良かったり珈琲が美味しかったりするのかも知れませんが、それを体験することはおそらくないでしょう。
小規模であまり客数が多くなくてもやっていける店なら、そういう方向性もありかも知れませんが、温浴施設はたくさんのお客さまに使っていただかないと成り立たない商売ですから、自分の信条がどうであれ、癒しと健康を求めるすべての人に貢献したい、というのが温浴ビジネスの基本スタンスだと思います。
しかし、対立や風評が自らの存在そのものを脅かすようなことに及ぶのであれば、そこはスタンスを明確にして、毅然と戦わなければなりません。
昨年の緊急事態宣言の時、多くの都道府県で休業要請対象業種にスーパー銭湯、サウナ、岩盤浴などの温浴施設が挙げられました。一方で東京都をはじめとして、いわゆる銭湯(一般公衆浴場)は除外するという方針が示されました。行政が生活に必要不可欠な業種と、不要不急なレジャーということで勝手に色分けしたのです。
一般公衆浴場とその他公衆浴場の区別は、物価統制令に従い入浴料金の統制を受けているかどうかということであって、社会における役割、仕事の内容にはほとんど差がありません。スーパー銭湯以上に施設が充実している銭湯もありますし、その逆もあります。
地域によっては銭湯がすべて廃業してしまってその他公衆浴場しか残っていないエリアもありますから、そういった地域に住む人は入浴機会そのものを失う可能性もあります。
感染拡大防止のために休業したり営業時間短縮したりするのが命令ではなくあくまでも要請であるなら、自己責任において判断するのだから、感染リスクと直接関係のない業種区分で差別するのはやめて欲しい、というのが私の思うところでした。
世論がどのような方向に向かって行こうとも、自分に降りかかる火の粉は払わねばならぬ、ということです。
最近、同じようなことを「免疫力」という言葉にも感じています…
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