時短営業いつまで

有料メルマガ「日刊アクトパスNEWS」会員の皆様

今日は 2021年1月19日です。

時短営業いつまで
 江戸時代、享和三年(西暦1803年)に麻疹(はしか)が大流行した時のことを、滝沢馬琴は「兎園小説余録」にこう記しています。

──初冬一カ月は、江戸中の湯屋も浴びるもの多からざりしかば、風邪流行に付、夕七時早仕舞という札を出し置きたり──

「兎園小説余録」滝澤馬琴

七時というのは午後16時のことで、そんな早い時間に湯屋(銭湯)が閉店するという現象が起きていました。

感染症の流行による時短営業というのは江戸時代からあり、今も昔も、風呂屋は感染症に振り回される商売のようです。

ただし、これはおそらく行政による公衆浴場に対する営業時間短縮要請などではなく、江戸時代当時は水を確保し湯を沸かして提供することが重労働だったでしょうから、外を出歩く人が少なくて商売にならないとなれば、時短営業にならざるを得なかったのだろうと想像します。

客側からすると、夜に入浴して冷たい夜風に吹かれ身体を冷やしては風邪をひく、という考え方があったのかも知れません。日の出ている昼間のうちに入浴し、夜は入浴を控える人が多かったのでしょう。

今は温浴設備が進歩していますので、湯を提供すること自体は重労働を伴わず、一方で清掃等は営業時間に関わらず作業量があまり変わらないので、営業時間短縮は必ずしも人件費削減に直結しません。

また浴槽やサウナも、適温まで昇温するのに大きなエネルギーを使いますが、温度維持はそれほどでもないので、例えば営業時間を半分にしても、水光熱費が半分になるわけではないのです。

つまり、現代の温浴施設にとって時短営業は、経営効率化のメリットよりも、売上機会を失うデメリットの方が大きいのです。

この新型コロナ問題の行方は、正確にはまだ誰にも分かりません。昨年の春には「きっと暖かくなれば…」と希望的観測をする人が多かったのですが、今も感染拡大と社会的混乱が続いています。

100年前のスペイン風邪が流行した時、第一波は大正七年(西暦1918年)5月から7月で、高熱で寝込む人はいても死者はあまり出ませんでした。これを「春の先触れ」と呼んでいます。

第二波は大正七年10月から翌年5月ごろまでで、26.6万人の死亡者を出しました。これを「前流行」と呼んでいます。

そして第三波「後流行」は、大正八年12月から翌年5月頃までで、死者は18.7万人。

つまり、スペイン風邪は3冬に渡って猛威を振るったのです。現代とは社会事情も医療技術も違いますので、100年前と同様の展開になるのかどうかは分かりませんが、昨年春からこれまでの新型コロナウイルス感染拡大の経緯を見ると、スペイン風邪と似たような流れを辿っているようにも見えます。

今は2冬目の流行だとしたら、まだ終息は先の話で、来年の冬にもう一度大きな波が来る可能性もあります。

歴史上、終息しなかったパンデミックはありませんが、今回のコロナ禍に関してはまだ道半ばというところなのかも知れません…

---------
この記事は会員限定公開となっており、全文は表示されておりません。

メールマガジン「日刊アクトパスNEWS」をご購読いただくと、毎日全文がメールで届きます。

メールマガジンご購読のご案内はコチラです。

Share this...
Share on Facebook
Facebook
Tweet about this on Twitter
Twitter