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今日は 2021年1月16日です。
◆今できることをやる(3)
「圧縮付加法」というのは、船井総研創業者である、舩井幸雄が提唱した「即時業績向上法」のひとつです。
まず即時業績向上法から説明しないといけないのですが、その考え方は、企業経営が困難な状況に陥っている時、人間に例えると重病患者となっている時に、いきなり強い薬を用いたり大手術に踏み切ってはならないということです。
経営で言えば、人件費削減のために急遽リストラをやったり、大きな投資をかけてリニューアルに踏み切るのが強い薬や大手術ということになりますが、社内に後ろ向きなムードが蔓延し、顧客の期待も失っているような状態で強引なことをやってもかえって命を縮めてしまう結果になりかねないということでしょう。
そこで、まず痛みや大規模投資が伴わない施策で短期間に業績を向上させて見せる。その体験によって自信を取り戻したり、成功のコツをつかみ社内が活性化してくる。やがて顧客の見る目も変わってくる。それが即時業績向上法の狙いです。活性化した状態で大規模な改革やリニューアルをするのであれば、うまく行くということなのです。
その即時業績向上法は、「長所伸展法」をはじめとするいくつかの考え方があるのですが、その中でもシンプルで分かりやすいのが圧縮付加法です。
かつての舩井幸雄は小売業のコンサルティングを得意としていましたので、小売店における圧縮付加法で説明します。
面積100坪の売上不振の小売店があったとします。
その品揃えを変えずに、売場を圧縮して70坪の売場にしてしまうのです。
100坪の売場に並んでいた商品を70坪に押し込むためには、棚に商品をぎゅう詰めにしたり、陳列棚を高くしたり、通路を狭めたり、といった工夫する必要があります。すると売場に密度感やボリューム感が生まれ、賑わいが出るのです。
品揃えを減らしているわけではないので、売上は落ちません。ドン・キホーテの店内を想像したら分かりやすいと思いますが、スッキリ整然とした売場よりも狭くてゴチャゴチャした売場の方が活気があり、むしろ売上が上がっていくのです。
これがいわゆるツイている状態。
圧縮してツキを取り戻したところで、空けた30坪には新たな商品を付加して売場をつくります。それまでの売上にさらに30坪分の売場の売上が加わるのですから、当然ですが売上はさらに伸びて行きます。
実に単純明快なノウハウなのですが、世間の小売店は意外とこの逆をやっていることが少なくありません。
POSを導入し、ABC分析で売れ筋を管理する。非効率な在庫を嫌い、取扱いアイテムを売れ筋に絞って多フェイスで整然と陳列。通路は歩きやすいように広くとり、店内を見渡せるように陳列棚は低く抑える。
一見効率良く儲かりそうですが、売れ筋は現時点の一時的な結果でしかなく、トレンドやシーズンがありますので、現在のA商品がいつまでも売れてくれるわけではありません。次の売れ筋を育てるべく新たなアイテムは順次投入していく必要がありますし、購買頻度が低くても息の長い商品を切り捨ててしまうと顧客も切り捨てることになってしまうのです。
売上が落ちてくると多フェイス陳列は不良在庫になるおそれがありますから、陳列量を抑えて、さらにスカスカの売場になっていくという悪循環に陥り、不振から抜け出せなくなるのです。
西小山東京浴場は、脱衣ロッカーを減らしてスペースを作り、休憩ロビーと巨大漫画タワーや売店スペースを設置したこと、洗い場カランを減らして樽水風呂を設置したことなど、やっていることはまさに圧縮付加法です。
脱衣ロッカー数や洗い場カラン数というのは…
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