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今日は 2020年12月9日です。
◆長寿施設のビジョン(5)
ここまで長寿施設のマーケティング戦略、施設計画、財務戦略といろいろ書いてきました。深いテーマですが、このシリーズは今回でいったん終わります。
(5)未来を示せるか
40代、働き盛りの経営者が温浴施設を開業しても、30年経てば70代。まだ仕事を続けているかどうかわからない年齢になっています。
建物が老朽化し、経営者も高齢になった時、その温浴事業も終わりとするのでしょうか。
そうだとしたら、私ならその会社に勤めようとは思いません。もちろん条件が合えば生活の糧を得るために一時的に働くことはあるかもしれませんが、そのうち終わると分かっている事業を一生の仕事と思うことはできないのです。
いま、温浴施設の現場で働く人たちの中で、この仕事に生涯をかけて取り組もうと思っている人がどれだけいるでしょうか。
施設の運営を続けながら10年後、20年後を考えた時、今より歳をとった自分が、その温浴事業の終わりとともに職を失い、貯金やつぶしのきく資格や技術もないまま世の中に放り出されることを想像すると、「いつまでもこんなところには居られない」と考えるのが普通だと思います。
運営組織がそんな腰のすわらない人たちの集団でしかないとしたら、運営力よる差別化も、施設の経年劣化を補うソフトの成長もあり得ないのではないでしょうか。
ゴーイングコンサーン(Going Concern・継続企業の前提)とは、会計基準の話だけではなく、企業として人を雇っていく上でも必要不可欠な概念なのです。
前職で先輩から、「企業とは、人を止める業(わざ)と書く」と教わりました。
若い人が温浴事業会社に就職して、リーダー→部門長→副支配人→支配人と昇進し、30年後にはそれなりの年収を得て、事業が存続していくと想像すれば、悪くないと思うかもしれません。何十人もいる運営組織の中で自分が支配人になれるかどうかは未知数ですが、ひとつの人生設計だと思います。
あるいは多店舗展開している企業であれば、自分が施設責任者になるイメージはいっそう近づくでしょう。
それとも高度なスキルを身につけて、他の施設への転職も考えながらキャリアアップしていくか。
最近はアウフギーサーやプロ熱波師といわれる仕事も徐々に職業としての地位を確立しつつありますし、広報販促や設備運用、飲食部門などそれぞれ専門的な技術や知識が必要ですので、本気で取り組めばプロフェッショナルになることが可能です。
つまり人材にプロフェッショナルなレベルを厳しく求めることが、逆に腰を据えて温浴の仕事に取り組もうとする人を集め、結果的にその企業がレベルアップしていくということにつながると考えられます。
30年以上先へと続く未来、多店舗展開して成長拡大を続けること、高度なプロフェッショナル…。いずれのストーリーであっても、夢を描き希望を示すことはできると思います。
良い施設をつくり繁盛させることや、投資回収を目指すことは事業の序章に過ぎません。
社員が一生の仕事と思える…
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