世相を映す

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今日は 2020年10月17日です。

世相を映す
 ふと気になって、温浴施設(一般公衆浴場とその他公衆浴場)の新規開業(営業許可)件数の長期推移を調べてグラフにしてみました。営業許可と営業廃止の件数を合わせた結果が毎年の施設総数になるわけですが、営業許可は温浴市場への設備投資の活発さを示す指標ですので、業界の元気度を表しているとも言えます。

厚生労働省の「衛生行政報告例」には長期推移などの親切なデータがないので、毎年の統計情報から拾うことになったのですが、平成元年から30年間の推移をあらためて並べてみると、1989年から2004年までの15年間は毎年コンスタントに1,300件前後と非常に安定的です。

ところが2005年から急増し、2006年にはそれまでの2倍近い2,679件がオープンしています。スーパー銭湯+公共温泉ブームです。

私が独立して株式会社アクトパスを創業したのは2006年ですから、ちょうど温浴バブルの絶頂期だったということになります。

考えてみれば当時は新規開業のご支援の仕事が多く、私もバブルで少し浮かれていたのかも知れません。(笑)

ところが、翌2007年には急ブレーキがかかります。この年はマンションの耐震偽装事件で建築確認申請業務が全国的にストップし、新規開業がことごとく遅れたことを思い出します。そして2008年にリーマンショック。日本全体の景気が冷え込み、設備投資も縮小してしまいました。

そして日本の総人口も2008年から減少に転じ、温浴施設の新規開業は2011年にとうとう年間1,000件を割り込み、以降は減少傾向が続いています。

温浴バブルの陰で、
2002年のレジオネラ菌集団感染事故
2004年の温泉偽装問題
2006年の岩盤浴バッシング
2007年の温泉爆発事故

など温浴業界にとって残念な出来事が連続して起きていたことも、温浴マーケット減速に影響を与えたのは間違いないでしょう。

「繁栄の極みに衰退の芽は生じ、衰退の極みに繁栄の芽は生じる」と言われますが、まさにその通りだったということを思い知らされます。

株式会社アクトパスでは、毎年「温浴経営戦略セミナー」を継続して開催してまいりました。

他にも単発のセミナーや外部主催の短時間講演を行うことはありますが、温浴ビジネスの経営戦略をテーマに、コンサルティング活動から得た新しい情報と経験、その時々で温浴業界が何を必要としているのかを考え、1年間の集大成として開催するのはこの経営戦略セミナーだけです。

セミナータイトルから各講座の内容まで私が考えています。ゲスト講師をお願いすることもありますが、私ひとりで1日全講座を担当したこともありました。

古いものは手元に資料が残っていないため、いくつか分からなくなってしまっているものもありますが、分かる範囲でセミナータイトルを書き出してみました。

2008 ここで差がつく!確実に投資回収できる温浴施設5つの秘策
2009 温浴施設 業績アップノウハウ公開
2010 これから温浴ビジネスが良くなる7つの理由
2011 危機を乗り越える経営
2012 温浴施設経営のリスクマネジメント
2013 業績アップのための3大戦略
2014 逆風は必至!強い温浴施設になるための条件
2015 温浴ビジネスは新時代へ!
2016 温浴の未来を語ろう!
2017 勝ち残る温浴施設の人と組織づくり
2018 経営品質で勝つ!
2019 女性マーケット拡大のための成功手法公開

こうして並べてみると、当時の自分の考えを思い出します。競合激化、東日本大震災、消費税増税、閉塞感、売上志向からマネジメント志向へ、市場そのものの拡大…かつて本気で考えたセミナー企画やタイトルは、その時々の世相や業界動向を映し出しているようです。

そして2020年は「温浴施設・新・10業態公開」。

このテーマは言うまでもなく「衰退の極みに繁栄の芽は生じる」ということです。2007年から新規開業のペースが鈍り、マーケット全体が衰退傾向にあった温浴業界はコロナ禍で決定的なダメージを受けています。そこに次の繁栄のヒントが生まれているはずなのです。

企業によって、立地条件やマーケット環境、資金力はそれぞれ違いますので、これからとるべき戦略も当然多様でなければならないと考えています。そのために1回のセミナーで10業態ものプランを公開するという無謀な企画になっていますが、この多様性こそが現在の世相に対する答えだと私は思っています。

(望月)

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