布石の優先順位

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今日は 2020年10月7日です。

布石の優先順位
 久しぶりに亡き父から教わった囲碁の格言を持ち出しますと、「大場より急場」という考え方があります。

大場というのは、空いている広いスペースに、先に一手入れるのが大きい意味を持つ場所のこと。先に自分の陣を張ることが後の戦いを有利に進めることにつながり、一手が何十目もの価値を持っているところです。

急場というのは、相手の勢力と自分の勢力が接触して激しい戦いになっている場面。うかつに手を抜くと一気に形勢が悪くなり、全体の戦局を大きく崩しかねません。逆に相手をうまく攻めたてることで、全体に好影響が波及することにもつながります。

コロナ禍における緊急事態宣言や感染拡大防止対策などはまさに急場でした。世の中が混乱し、事態が大きく動いている時に何も手を打たなければ、自店が地域からの信頼を失ったり、経営に厳しいダメージを受けかねないる局面。

そこで何も考えず、何も手を打たなかったという経営者はいないと思います。

地域により温度差はありますが、今現在も急場が続いていると感じている方もいらっしゃるでしょう。

囲碁に限ったことではなく、大場と急場の状況判断が重要です。大場に布石することばかり考えて急場で後手に回ってもいけませんし、いつまでも局地的な戦いにとらわれ過ぎて大局的なの優先順位を見失ってもいけません。

コロナ禍の急場に集中する局面から、いつ全体の大場に目を移すか。そのタイミングは今後の経営を大きく左右することになるのではないかと思います。

もうひとつ囲碁の序盤で用いられる格言をご紹介しますと、「一隅 二シマリ 三ヒラキ」。

これは布石の基本的な順序を教える格言で、まず4つの空き隅に打って自分の勢力を置くことの価値が最も大きく、次にその隅に二手目のシマリを打って隅の足場を固める。さらに辺へヒラいて勢力を広げ大きな自陣を確保する、という手順です。

前回の記事で書いた「国民の2割が温浴ファンだとしたら、残りの8割にも目を向ける」という考え方は、囲碁で言うとまだ手つかずで大きく空いているスペースが残っている序盤だということなのです。

「温浴は衰退しつつある成熟マーケット」という見方は、局地的な現象にとらわれ過ぎということかも知れません。

先週のニュースですが、「ソロサウナ」という…

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