残り8割以上のマーケット

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今日は 2020年10月6日です。

残り8割以上のマーケット
 前回記事で、──「日本人のうち、温浴施設を定期的にリピート利用する習慣を持つ人はおよそ2割」と言われていましたが、その2割のマーケットが縮小してしまったのなら、残り8割の潜在マーケットを開拓する方向に目を向けているということでしょう。──と書きました。

2020年「レジャー白書(公益財団法人 日本生産性本部)」によれば、「温浴施設」の参加人口は2940万人(総人口の23.3%)。レジャー白書の調査は毎年行われているサンプル数3000件程度のアンケート調査なのですが、温浴施設の参加人口は例年3000万人前後という結果になっていますので、それなりに信憑性があります。

参加人口というのは、その余暇活動に年1回以上参加と回答した人という意味で、旅先の温泉旅館でたまたま大浴場を利用した、といった人も含まれているでしょうから、必ずしも固定的なおふろファンというわけではありません。

温浴施設を定期的に利用するリピートユーザーとなると、まだ国民の2割どころかもっと少ないのかも知れません。

ここで気づかなければいけないのは、我々温浴業界は「2割以下のマイノリティを対象に商売している」ということです。日本人は風呂好きとか言われていますが、温浴施設を利用していない人たちが8割以上の多数派なのです。

温浴の魅力を知っている者からすれば、どうして利用しないんだろう?と思うかも知れませんが、利用しないのにもそれぞれ理由があるわけです。

その理由を考え、もし温浴施設に行かない理由をひっくり返すことができれば、温浴マーケットは今の何倍にも成長する可能性があります。

マニアやヘビーユーザーと一緒に盛り上がるのもいいのですが、温浴初心者や温浴施設に行かない理由のある人たちのことも考え、そこに手を差し伸べることが、今後の温浴業界の成長には欠かせないものと考えています。

さて、その温浴施設に行かない理由ですが、この点はまだあまり研究が深まっていないテーマだと思います。

私が思うに、そもそも温浴に無関心であったり、その価値にまったく気づいていない【無関心層】と、温浴施設に関心はあるものの、何かしら行きづらい事情がある【ワケあり層】に分けられると思います。両者の割合も分かりません。

【無関心層】とは、
・そもそも興味がない
・温浴施設の魅力に関する情報を知らない
・自宅に風呂があるのに、お金や時間を使ってまで行く意味が感じられない
といった人たち。

私の身近にもいますので、情報がまったく届いていないわけではなく、そもそも健康増進や心身の癒しといったこと全般に対して関心度が低いということなのかも知れません。

無関心をひっくり返すのはなかなか難儀なことです。強引に体験してもらうのが一番効果的なのかも知れません。

もう一方の【ワケあり層】の事情は多種多様です。
・女性は身支度がないといきなり入浴はできない
・観光、立寄りマーケットはのんびりしている時間がない
・行きたいタイミングと営業時間が合わない
・入れ墨タトゥー排除
・赤ん坊排除
・オムツ排除
・介助が必要でひとりでは入浴できない
・他人に裸を見られたくない
・他人の裸を見たくない
・衛生的に不安、不快
・感染症が怖い
・塩素臭が嫌い
・塩素に弱い(敏感肌、塩素過敏症)
・皮膚トラブルあり
・傷跡や手術痕を見られたくない
・その他身体的コンプレックス
・体臭
・オストメイト装着
・LGBT
・庶民と一緒になりたくない
・マナーの悪い人と一緒になりたくない
・乾燥肌で保湿の準備がない
・質のよくないアメニティを使いたくない
・好みと違うものがセットされた入館料に納得できない
・一度脱いだ下着を再び着たくない
・混雑を避けたい

まだまだありそうです。

これらの事情に対してはハードや運営方法をひとつひとつ見直していくことで、ある程度はカバーできそうですが、これだけの多様性を考えると、今後個室化や貸し切り化という方向に向かうことはひとつの避けられない流れであろうと思います。

温浴施設(一般公衆浴場+その他公衆浴場)は全国に2万施設、セブンイレブンの店舗数とほぼ一緒で全国津々浦々に行き渡っており、その中には500円以下でも入れる施設だってたくさんあるのですから、この状況でも温浴施設に行かないという人は、少々安くしたところで来てはくれないでしょう。

2割以下のマイノリティばかりを見て競争で奪い合っていても、人口減少やマーケットの縮小には対抗できません。今は8割以上の温浴施設に行かない理由をひっくり返すことに目を向ける方が重要だと考えています。

【温浴施設・新・10業態公開セミナー】
1010月27日(火)14時より、遠方の方や外出しにくい方もオンライン参加も可能ですので、お聞き逃しなく。
・セミナーの詳細ご案内はコチラ https://bit.ly/30xzTXl

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(望月)

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