答えは現場にしかない

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答えは現場にしかない
 7月22日に始まる観光支援策GoToトラベルキャンペーンから、東京発着の旅行が除外されることになったようです。

日々多くの感染者数が報告されている東京都からの感染拡大を不安視していた人たちにとっては安堵する決定ですが、大都会の消費パワーに期待していた観光業界の人たちにとってはガッカリする部分もあり…というように社会心理としては複雑な心境といったところでしょうか。

いずれにしてもこうした補助や助成金の類は一過性のことであり、事業者側としてはそれで一息つけたとしてもずっと持続するわけではありません。

自力で生き残れる道筋を見出すことの方が重要であり、政府の方針に一喜一憂している場合ではないのです。

 コンサルタントという仕事柄、これまで多くの業績不振店を見てきたわけですが、不振の根本的な原因として最も多いのは経営の意思決定が現場と離れたところで行われているケースでしょう。

施設数にして温浴業界の2割を占める公共温浴施設はほとんどがこのパターンです。施設の所有者は行政であり、民間企業への指定管理と言っても様々な制約でがんじがらめになっていて、現場は決められた通りに運営するだけで重要な経営判断にほとんど関与できません。

本社や親会社が温浴以外の事業を本業としている場合も、温浴施設の現場から離れたところで意思決定が行われていることが多く、現場の意見や情報が充分に吸い上げられていないためにトンチンカンな経営判断になってしまうようです。これも温浴業界に非常に多いパターンです。

資金調達において補助金や他人資本の比率が高過ぎるのも同じような問題に陥る原因になります。行政や出資者の、現場を知らない素人的な意見がまかり通ってしまったり、実行力が削がれてしまうものです。

逆に社長が自ら現場に立っているような施設は経営判断が柔軟かつ迅速です。

誰もが未体験であり、刻々と状況が変わるこのコロナ禍において、どちらの企業体質が望ましいのかは自明のことでしょう。

つまり、できるだけ現場に近いところで意思決定する経営体制をつくることが、この危機を乗り切るためには極めて重要だということです。

経営体制の変更というと非常に難しいことのようですが、億単位の投資リスクに比べれば、うまくいかなかった時はやり直せるぶん、大胆に変更してみることもできるのではないでしょうか。

(望月)

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