単純一律割引はもうやめましょう(4)

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単純一律割引はもうやめましょう(4)
 人によって新型コロナウイルス問題の捉え方や受けている影響が違うため、消費者心理はバラバラ。お客さまを十把一絡げにした販促では高い反応率は期待できず、客層ごと、動機ごとにアプローチを使い分けることが大切。

この点に気づかずに集客ばかりを焦って割引率の大きい企画を打ち出しても、利益率を悪化させる結果になってしまう…ということをシリーズで繰り返しお伝えしております。

前回は「年配客」について書きましたが、今回は温浴施設が客数を落としているもうひとつの大きな要因である「女性客」について考えてみましょう。

女性客の来館が減少している理由について、
・男性よりも女性の方が怖がりな傾向
・旦那や子供が家にいると、主婦は家事が増えて外出しづらくなる
・主婦や高齢者はテレビを情報源とする人が多いため、必要以上に不安を煽られている
ということを以前から申し上げていますが、もうひとつ、私を含め男性の目線ではなかなか気づけない問題があります。

それは、女性客同士の「おしゃべり」。女性は普段からおしゃべりが大好きであり、浴室やサウナ室内でもよく喋っているそうです。

昨今は「館内、特にマスクをしていない入浴中のおしゃべりは控えて」、というメッセージを掲げる施設も増えていますが、まだ新しいエチケットとして完全に定着しているとは言えず、施設によってはあまり気にせず盛大におしゃべりしている人たちがかなりいらっしゃるようです。

いま通勤電車に乗るとマスク着用率はほぼ100%に近く、会話している人もいないのですが、普段からそのような光景を目にしていなければ、気づきにくいのかも知れません。

「浴室内は走らないで」、とか「タオルを浴槽につけないで」、という入浴マナーはある程度定着していますので、そんなに大きく表示しなくても皆が分かっていることですが、おしゃべり禁止についてはまだまだですから、今は一時的に大きく目立つように表示する必要があるのではないでしょうか。

あるいは入館時に検温を実施しているなら、2人連れ以上のグループ客にはおしゃべりは控えてということを強調してお伝えすることもできるでしょう。

おしゃべりがどのくらい感染リスクを高めるのか、これはまだよく分かっていないことですが、おしゃべりを控えない傍若無人な人たちと同じ空間に居合わせることをストレスに感じる人がいるのは確実なことであり、それが嫌で温浴施設を避ける人が増えてはいけませんので、マナー啓蒙は大切なことだと思います。

さらに、この問題を販促企画とつなげるなら、平日昼間を「おひとり様優先タイム」にするという方法が考えられます。前回書いた年配客向け「シニア優先タイム」と同じことで、一人客のみが利用できる時間帯を設定するのです。もちろんグループで来館しても、館内で別々に行動していただくぶんにはおひとり様と同じですから、入店を拒否して客数を減らすということではありません。

逆に、貸切個室であったり間仕切りで仕切られた飲食席を設けるといったことがハード的に可能であれば、そこでは思いっきりおしゃべりを楽しめます、という積極的な売り方もあるでしょう。

「おしゃべり禁止」というメッセージにはネガティブな印象がありますが、「おひとり様優先」というのはポジティブです。人と接するのが怖くて家に引きこもりがちな人にも、安心感が伝わると思います。

3密回避や館内消毒などの一般的な安全対策に加えて、もうひとつおひとり様優先という安心感が加われば、遠のいていた女性客の客足が戻ってくるのではないでしょうか。

(望月)

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