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◆単純一律割引はもうやめましょう
5月25日の緊急事態宣言解除から40日が経過しましたが、温浴施設はなかなか本来の集客ペースが戻ってこない中、大々的に入館料割引キャンペーンを行うところが増えてきているようで、気になっています。
コロナ禍で収入が減ったり失業してしまうなど、生活不安あるいは生活が困窮している人が増えていますので、入館割引で利用しやすくしよう、という考えも分からなくはありません。
しかし、そうした事情の人たちに対して数百円程度の割引でどの程度効果があるのかは疑問です。10万円の特別定額給付金支給が遅れていることが問題になっていますが、生活不安というのはそういう単位の話ですから、数百円の割引がお得だからと簡単に動いてくれるとは思えません。
そして一律で入館割引をすれば、割引に関係なく来てくれていたお客さまも含めて、すべての客単価を落とすことになります。
ただでさえ客数が本来より何割も少なく、付帯部門利用率も伸び悩んでいる状況で、入館料単価まで落としてしまったら、どこに利益が残るのでしょうか。
全国的に感染不安心理や自粛ムードが解消しているわけではありません。それでもいま来館してくれているお客様は「温浴施設のない人生なんて考えられない」くらいのヘビーユーザーであり、自店のファンだと思っていいでしょう。
そんなお客様も数百円程度の割引を求めているわけではないと思います。
ヘビーユーザーや常連に響くのは、
「こんな時でも来てくれてありがとう!」
「あなたこそうちの大切な常連様です」
「一緒にこの危機を乗り切りましょう」
「温浴で健康を維持してくださいね」
「お身体に気をつけて、また来てください」
といった気持ちだと思います。館内にそんなメッセージがあふれていたら、きっと良い気分になることでしょう。
つまり、単純一律割引とは、今は誰にも響いていない販促であり、店の収益性を悪化させるデメリットの方が大きいのではないかと考えられます。
それよりも、「どこの誰がどんな気持ちでいるのか」を考えて、その気持ちに寄り添った言葉やサービス、販促手法を考える方が何倍も有効です。
1年前のメルマガ第1007号「釣りとマーケティング」(2019年7月5日執筆)で、「魚がいくらたくさん泳いでいても、餌や仕掛けが合っていなければ、漫然と釣糸を垂れているだけでは何も釣れない」ということを書きました。
今の状況は「魚が環境変化に驚いて警戒モードになり餌に喰いつかない」ということです。
Withコロナ、Afterコロナ時代に生き残るためには、単純な一律割引で集客といったBeforeコロナ型の発想から頭を切り替えなければならないと考えています。
(望月)