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今日は 2020年6月29日です。
◆第二波への備え(3)~新規複合事業
温浴施設は、集客して館内で消費してもらってナンボの商売です。公衆浴場業とは違う業種を複合するといっても、施設への集客を前提にした飲食やボディケア、売店などは一蓮托生で、施設の集客が止まればすべての売上が止まってしまいます。
再び厳しい自粛ムードであるとか、休業要請、あるいは温浴施設がクラスター業種としてやり玉に上がるような事態まで想定した場合、店舗集客型の業種がいくら複合していてもリスクヘッジにはなりません。
4つの備えの2つ目は新規複合事業への取り組みです。
(2)新規複合事業
ここで言う新規複合事業とは、通常時のような集客を前提としないタイプのビジネスを組み合わせること。今回の新型コロナ問題第一波の間に各地の温浴施設でそういったチャレンジが行われていました。
この3ヶ月間に見聞したものをざっと書き出してみると、
【テイクアウト系】…施設への短時間の立ち寄り、あるいは銭湯的営業で入浴だけしてすぐ帰るような場合に、客単価ダウンを食い止める効果があるテイクアウトビジネス。
・弁当総菜テイクアウト(食品衛生に関わるので要保健所届け出)
・温泉テイクアウト(ポリタンク、温泉利用法の変更なので要届け出)
・温泉ドライブスルー(同上)
・駐車場青空市場(自社商品+産直野菜など)
【デリバリー系】…施設集客ではなく、こちらからお客様のところへ出向くタイプのビジネス。大きな厨房と調理スタッフ、あるいは特色ある泉質などの経営資源を活用することができます。
・ケータリング(パーティや宴会などへの料理提供)
・弁当総菜の仕出し(容器回収)
・弁当総菜のデリバリー
・手作りパンの団体購入や定期お取り寄せ
・温泉デリバリー(ポリタンク)
・温泉宅配(浴槽への注入)
【オンライン系】…インターネットを駆使したビジネス。既存のネット販売チャネルを活用したり、自社で通販サイトを立ち上げたり、様々な広がりがあります。
・自社通販サイト構築
・既存チャネルでオリジナル商品販売(サウナイキタイ)
・前売りチケット(アソビュー!、サウナイキタイ)
・オンラインカルチャー教室
【製造業系】…商品開発製造を自社で行う。販路は上記販路に加え、既存のネット販売サイトの活用や他店への卸売などの可能性も広がる。
・手作りマスク
・弁当総菜
・オリジナルTシャツ
・オリジナルエコバッグ
・源泉利用商品(入浴剤、化粧品等)
こうしたことを書くと、「にわか仕込みで本業と違うことをやってもうまく行きっこない」といった気持ちになってしまうかも知れません。確かに、新規事業を立ち上げてすぐ本業の収益を丸ごとカバーできるようになるなら誰も苦労しないでしょう。
しかし、実際に取り組んだところでは意外なほど成果が上がっているのです。
新規複合事業に取り組むことで、既存顧客とのつながりが維持されたり、これまでお付き合いのなかった新規顧客の開拓になったり、マスコミに取り上げられて莫大な宣伝効果があったり、スタッフの収入や雇用維持の助けになったり…といった様々な効果があります。
「進んだ先でしか見えてこない、新しい世界が拡がっている」「攻撃は最大の防御なり」と考えて、前向きに歩を進めていきましょう。
(望月)