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今日は 2020年6月20日です。
◆古い販促手法を復活
昨日は久しぶりの新幹線出張で、温浴施設の開発予定地を中心とした商圏内にある競合店の力関係を調べるための調査をしてきました。
新幹線の乗車率はまだ平常時の3割程度でした。
温浴施設も、本来であればそれなりに賑わっているはずの有力施設が今は閑散としており、コロナの影響下で集客することの難しさを実感させられます。
もっとも客数が多かったのは、複合商業施設の一角にあるスーパー銭湯でした。100円ショップなどが隣接しているため、生活必需マーケットの集客で相乗効果が出ているようです。
平常時であれば、「買い物と温浴施設利用は動機が異なるため、買い物ついでの利用はあまり期待できない。温浴施設は目的性が高く、単独でも集客できるので、むしろ不動産コストの安い立地の方が有利。」と申し上げてきたのですが、消費者の外出控え心理が払拭できない中では、いろいろな業種の店舗をワンストップで利用できる複合商業施設の方が集客しやすくなっているのでしょう。
コロナショック以来、多くの温浴施設で耳にしたのは、「女性客と年配客の落ち込みが激しい」という現象です。
(1)男性よりも女性の方が怖がりな傾向
(2)旦那や子供が家にいると、主婦は家事が増えて外出しづらくなる
(3)新型コロナウイルス感染症は高齢者の方が重症化リスクが高い
(4)主婦や高齢者はテレビを情報源とする人が多いため、必要以上に不安を煽られている
といったことが要因であろうと想像しています。
温浴施設にとって女性客と年配客は、平日の昼間から来店してくれる重要な客層であり、ここにブレーキがかかったままで、普段のようなイベントやクーポン販促をやったところで、期待する客数レベルへの回復は困難でしょう。
いまやらなければならないのは、割引やイベントではないと思います。売上が落ちているところで割引をやれば、ますます利益率が低下する一方ですし、来館者がいないところでビンゴ大会をやっても盛り上がりません。
上に書いたように自店の女性客と年配客の落ち込みの要因を把握し、その集客阻害要因をひとつひとつ解消していかなければ、客数は回復しないでしょう。
(1)感染不安心理に対しては、自店の徹底的な感染拡大防止対策をアピール。数々の対策内容を具体的に紹介したり、スタッフが館内消毒に取り組む画像を紹介したりすることで、安心感を持ってもらうことでしょう。
(2)主婦の家事負担増に対しては「たまには家族でゆっくり外食を楽しんでは」「お弁当やお惣菜のテイクアウトあります」「おふろでリラックスして頑張った自分にご褒美」といったアプローチ。
(3)高齢者の重症化不安に対しては、「おふろで健康増進・免疫力アップ。これからは夏の熱中症に備えた体力づくりも大切!」といったアプローチになります。
(4)そして一番重要なのが情報源。第一生命経済研究所の「新型コロナウイルスによる生活と意識の変化に関する調査(2020年4月3日〜4日実施、全国の20〜69歳の男女1,000名へのネット調査)」で、新型コロナウイルスに関する情報収集と情報源を聞いたところ、自ら情報を取りにいくのではなく、テレビのニュースやワイドショーから情報を得ている人が非常に多いのです。
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/ldi/2020/news2004_01.pdf
上記調査では属性のクロス集計結果までは分かりませんが、特に主婦や高齢者がテレビの影響を受けやすかったであろうことは想像がつきます。テレビで連日流されていたのは不安を煽るような番組ばかりでしたから、多くの女性客や年配客はこの影響が抜けていないのです。
テレビの影響が大きい人たちには、いくらHPやSNSで情報を発信してもなかなか届きません。上記(1)(2)(3)のような内容を伝えるためには、チラシやポスティング、タウン誌のようなローカル型の販促、そして登録会員へのメールや郵送などダイレクトなアプローチ方法を駆使する必要があるのです。
この10年くらいの流れは、あまり広告宣伝費がいらず、やればやるほどだんだん効果が積みあがっていくということで、インターネットでの情報発信、特にSNSの活用による集客が推奨されてきたのですが、今は集客媒体にかける費用と手間の配分を見直してみる必要がありそうです。
(望月)