収容人員は減らすべきなのか?

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今日は 2020年6月8日です。

収容人員は減らすべきなのか?
 今後の温浴施設経営において、消費の低迷=客数・客単価減少という根本的な問題に次いで気になっていることがあります。それは密集とソーシャル・ディスタンス問題です。

マスクや消毒は、もしそれが新しい生活様式として定着するのであれば、それに合わせるほかないですし、温浴施設経営的にはそこまで深刻な影響を受けるものでもありません。

人前でおしゃべりを控えるのもマナーの問題ですので、そう思う人が増えれば定着するでしょう。

換気強化は温度管理の問題と言えますが、お客さまの理解は得られそうですし、エネルギーコストの増加と言っても金額的にはそこまで大きな負担ではありません。

しかし、今のように密集回避やディスタンス確保のために、下足ロッカーや脱衣ロッカーの数を減らして本来の収容人数を放棄すると、温浴施設が採算性を確保するのは極めて困難な状態となります。

売上低下に対して、コストダウンで何とか運営段階(Gross Operating Profit)での収支バランスをとりもどすことができたとしても、減価償却や金利、公租公課、保険料といった、施設規模(投資額)に連動してかかってくるコストは避けようがありません。

装置産業と呼ぶのは好きではないのですが、施設本来のスペックをフルに活かしてこそのビジネスであることは間違いないのです。

多くの温浴施設では、延床面積と収容人員のバランスが1人あたり占有面積4〜6平米となるよう設計されています。例外的にそうでない施設もありますが、よくあるタイプのスーパー銭湯や日帰り温泉、健康ランドなどはだいたいそうなっていると考えて良いでしょう。

バックヤード30%として、お客さまの立ち入るスペースは70%、1人あたりにすると2.8〜4.2平米ということになります。この面積を人を中心とした円と考えると、半径94〜116cm。つまりロッカー満員の状態でも人と人同士が約2m離れられるだけのスペースは平均的には確保されているのです。

今温浴施設が一部のロッカーを減らして営業しているのは、徹底した安全対策をアピールする意味が大きいのですが、いつまでもその状態を続けるわけには行きません。

密集リスクの大きいエリアは定員制や順番制などの対策を講じるとしても、施設全体の収容人員を減らす必要まではないと考えます。

電車やエレベーターの中など、日常的にもディスタンスが確保できない場面は多々ありますので、世の中の常識としても「何がなんでも2m確保」といったことにはならず、「人が多いエリアではお互い気をつけて譲り合いましょう。できない時はおしゃべりを控えましょう。」といった現実的なところにおさまってくるのではないでしょうか。

これも世の中の感染リスクに対する不安度の変化との兼ね合いではありますが、ロッカー制限は徐々に元に戻していけるものと考えます。あまり長期間ロッカー制限を継続すると、それがニューノーマルとして定着してしまいかねませんので、その点も気にしてください。

(望月)

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