客足は戻るのか?

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今日は 2020年6月6日です。

◆客足は戻るのか
 緊急事態宣言解除から10日が経ちましたが、人の動きはなかなか戻らず、通勤電車の混雑度は普段の半分から7割程度でしょうか。

銀座にある弊社事務所の周辺には多くの飲食店があり、すでにほとんどの店が営業再開をしているのですが、どの店も普段の客入りとは比較にならず、週末もお茶っぴきとなってしまったところが相当ありそうです。

仕事や用事で外出はしても、まだ飲食まではしないという人が多いのでしょう。

こんな状態がいつまで続くのか?、我慢していればそのうち元に戻ってくれるのか?店舗経営者にとっては戦々恐々の日々だと思います。

消費動向を示すデータの中でも特に速報性が高いのが内閣府の「消費動向調査」。全国から抽出された8400世帯を対象に毎月15日に調査、月末には結果が発表されます。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

暮らし向き、収入の増え方、雇用環境、耐久消費財の買い時判断、資産価値に関する意識調査から総合的な消費者態度指数を導いているのですが、これを見ると、今回のコロナショックは過去のリーマンショックや東日本大震災のインパクトを上回る、これまで経験のない急減速であったことが分かります。元々消費増税で悪化していたところに追い打ちをかけるタイミングでしたので、平常時の半分近くまで落ち込んでいます。

4月の数字を見た時はまだ底なしに落ちていくのかも知れない…と思っていたのですが、5月は少し回復基調ですので、いったんは底は打ったと言えるでしょう。

このまま回復に向かってくれるといいのですが、まだこれから先のことは何とも予測が難しい状況です。

温浴施設経営の視点で考えると、この消費者動向、つまり基本的な客足がどうなるのかということが最も重要な問題です。

多くの温浴施設では、売上を

来館客数×{入館料+オプション+(付帯部門利用率×単価)}

という計算式で考えていますので、掛け算の起点となる来館客数が大幅減では、他でいかに工夫してもどうにもならないのです。

今回のコロナショックで消費者の生活行動は大きく変わりました。

仕事はリモートワーク。もちろん企業や職種によって差はありますが、仕事のかなりの部分がリモート化できてしまうということは多くの企業が実感したので、合理化という意味でもこの流れは元に戻らないでしょう。

買い物は通販。もともと小売店から通販へという流れはあったわけで、その流れがいっそう強くなっただけ。

食事はお取り寄せ。通販で買った食材を調理したり、デリバリーやテイクアウトを利用したりもできるので、外食機会は減ってしまいます。飲み会もオンライン。

学校もオンライン授業。ジムも動画を見ながら。

こうして書き出していくと、生活行動の多くはオンライン化できてしまうのです。どうにも自宅でできないのは、アウトドア系と旅行と温浴くらいかも知れません。

もし今後コロナウイルスに対する感染不安心理が消滅したとしても、オンラインの方が合理的という理由で外出機会が減るのは間違いなく、そうなると仕事帰りであったり、外出ついでの温浴施設立ち寄りという機会はどうしても減ることになります。

今のままの温浴施設では、当面だけでなく長期的にも客数減少が不可避。この重たい現実を噛み締めなくてはならないのです。

そうなると、経営戦略的には2つの方向性が考えられます。少ない客数でもやっていけるような構造に変化するのか、施設に足を運んでもらえるだけの強い来店動機を作り出して客数を再び増やそうとするのか。あるいはその2つを同時に追求するのか。

少ない客数でもやっていける構造というのは、よほどの大きなコストダウンをするか、大幅な客単価アップをするという意味です。いずれにしても簡単なことではないはずです。

温浴経営者にとって、かつてないほど重大な決断をしなければならない時が近づいているのです。

まだ答えは出せずとも、おふろ&サウナサミット6.11で判断材料はたくさん得られるはずです。

(望月)

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