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今日は 2020年6月5日です。
◆黒船に乗り込む
こんな時期ですが、新規に温浴施設の開発に取り組みたいというご相談が舞い込みました。
新型コロナ問題によってほとんどの温浴施設が臨時休館を余儀なくされ、ようやく営業再開しても売上は本来のペースにまったく届かないというのが現在です。
もうこれまでのセオリーに従った手法で立地診断や売上予測をしたところで、現実感の乏しい報告にしかならないことは、自分自身が一番よく分かっていますので、そのことを正直に申し上げました。
しかしそれでも進めたいというお話だったので、調査をお引き受けすることになりました。
はっきり申し上げると、今後はこれまでのセオリーどおりに温浴施設を作っても、もはや勝ち目は薄いと思っています。
もともと昨今の温浴ビジネスは施設同士の競合の激化、消費の低迷、建築コストの高騰、人材確保難といった難しい条件がいくつも並んで、簡単に成功できるビジネスではなくなっていました。
その中でも事業を成立させるために、温浴施設の開発・運営ノウハウはどんどん進化を続け、緻密で高度なものとなってきていました。それは0.001秒を削るために極限まで進化したF1マシンのようなものだったのかも知れません。
そのテクノロジーを詰め込んだF1マシンで、先の見通しもないまま悪路を走らなければならなくなっているのが現在です。収容人員を減らして館内の密集を避け、感染拡大防止対策でスタッフの作業量を増やし、営業時間を短縮したり、付帯部門を休止したり…。本来の性能は発揮しようがありません。
しばらく待っていれば世の中が元に戻ってくれるならいいのですが、そうはならず、これまでのセオリーが通用しない状態が続くなら、それはもう捨て去るしかありません。
長い年月をかけて培ってきたノウハウですが、それを究めることが目的ではありません。温浴施設の存在意義とは何なのか。何のために温浴を提供しようとしているのか。再びその原点に立ち返らなければならない時が来ているのだろうと思っています。
これまでは立地診断と売上予測は一連のノウハウがパッケージ化されて効率的に進められる業務だったのですが、今回は非常に悩ましいことなりそうです。黒船に乗り込むつもりでやります。
(望月)