新料金の実験チャンス

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今日は 2020年6月3日です。

新料金の実験チャンス
 ウイズコロナの温浴施設では、客数も客単価も減少してしまう懸念があります。

消費者の自粛ムードや感染への不安心理、そして可処分所得の減少によって、客数も客単価も1〜2割減となれば売上は3割減。それが「7割経済」ということなのでしょう。

消費者心理は、コロナをそれほど気にしない人と不安に怯える人、収入減など生活に影響を受けている人とそうでもない人というように、バラバラになっています。

施設側としては、売上は喉から手が出るほど必要なのに、館内が密になっては困るし、イベントや接客サービスも抑制しなければならないというのは、一体何をしようとしているのかよく分からなくなってしまいます。

これまでの温浴施設には、モデルとなる利用パターンがありました。例えば入浴60分、飲食60分、休憩その他60分で合計180分、入館料+付帯収入で客単価1,500円、といった想定です。

例えば脱衣ロッカーに何人用タイプを使うかといったこともそうですが、温浴施設のキャパシティやグレード感は、だいだいこのモデル利用パターンに合わせて設計されているのです。

しかし、これからはお客さまの消費行動を均質なパターンにはめようとしてもおそらく上手くいかない可能性が高いと考えています。

かつて一億総何とかという言い方があったように、日本人のマーケットはある程度十把一絡げにして消費者の平均像を追うことが可能でした。最近は格差社会といわれたり、ターゲットや利用動機をセグメントしないとヒットしなくなってきてはいましたが、それでも人種から居住地や学歴、所得まで、海外諸国に比べれば日本はまだ均質な方だったのです。

その均質なマーケット特性の中で、年齢も社会的地位も関係なく誰もが生まれたままの姿になって一緒に入浴を楽しみましょう、というのが多くのお風呂屋さんのマーケティング基本方針であったと思います。

これが今後通用しなくなるかも知れないとしたら、どう考えたら良いのでしょうか。

以前から通常入館料とクイックコースという料金体系の施設はたくさんありました。またこの数年は、60分・90分・120分といった時間制入浴コースと、館内着付きのフリータイムコースを選べる施設も増えていました。

短時間・低単価の人と、長時間・高単価の人という2つの利用パターンを狙った入館料金体系ということです。

これらも想定する利用パターンにはめようということに変わりはありませんが、何ごとも想定外続きなのが今の世の中ですから、それが最善かどうか分かりません。

そこで、今こそ時間制料金をテスト導入したらよいのではないかと考えています。

時間制料金とは、Timesに代表される時間貸しコインパーキングのような料金体系のことです。入館や入浴に対して料金が発生するのではなく、利用時間に応じて料金が発生するということです。

例えば、10分100円にすると、1時間なら600円となります。入浴だけが目的の人は1,000円以下で利用できることでしょう。

もうひとつ時間貸し駐車場を参考にしたい点が「最大料金」です。一定時間で区切った時間制料金としながら、上限となる最大料金を決めてそれ以上は課金しない方式とすることで、長時間利用者も安心してくつろぐことができます。

仮に10分100円、最大1,200円とすれば、「2時間以上滞在するとお得になる」ということが伝わり、安心して長時間滞在するお客さまが増えるかも知れません。逆に時間もお金も余裕はないけど、どうしてもサウナでひと汗かきたいだけという人は「30分300円で利用できるかチャレンジしてみよう」と考えるかも知れません。

いずれにしても、「どう利用するのか決めるのはお客さま自身」ということがこの時間制料金のポイントです。

建物や設備は簡単に変更することができませんので、どうやったら施設を最大限に利用していただけるのかを見出す実験という意味では、やってみる価値があると思います。

こういうことを言うと「精算システムが追い付かないのでは?」とご心配になるかも知れませんが、券売機方式なら受付時に券に入館時間を書き入れれば退館時に時間計算するのはそんなに難しいことではありませんし、POS方式なら受付時間は記録されているはずですから、これも可能です。

営業時間から館内サービスまで変更続きだったこのタイミングこそ、大胆なテストをやってみるチャンスなのではないでしょうか。

(望月)

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