このままではいけない

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今日は 2020年5月23日です。

このままではいけない
 今回は温浴経営コンサルタントという自分の領域からちょっと外れたことを書きます。

昨日、東京都の新型コロナウイルス新規感染者数はわずか3人でした。

国内新規感染者数の1日あたり増加は、このまま指数関数的に増えていくのではと心配された時期もありましたが、緊急事態宣言が発令された4日後の4月11日に714名という人数になったのがピークで、その後は減少傾向となっています。

結果論ですが、潜伏期間を考えれば、自粛や休業要請とは別の要因でピークを迎え自然に終息に向かったと考えるざるを得ないようです。

そもそも新型コロナウイルス感染症による国内累計死者数は5月21日時点で累計796名。それだけの人が亡くなってしまったということは重たい事実ですが、2019年のインフルエンザによる国内死者数は3,325名、肺炎による死者数は毎年10万人前後(厚生労働省人口動態統計)であることと並べて考えると、新型コロナウイルスだけを問題にするのはアンバランスです。

数値を客観的に見れば、新型コロナウイルス感染症はそこまで危険ではないと言えるはずです。たしかに欧米では日本とは比較にならない深刻な被害が出ていますが、日本を含む東〜東南アジアにおいては風邪の種類がひとつ増えた程度だったということがだんだん明らかになってきました。

欧米とアジア、人口あたり死者数にして2桁の違いを生んだ理由が免疫によるものなのか、はたまた遺伝的要因、気候風土、あるいは生活習慣なのか、そういった疫学的分析はまだこれからですが、少なくともここまでの経緯から、新型コロナウイルスは日本人にとって思っていたほど危険な感染症ではなかったということは、もはやデータから明らかです。

未知のウイルスゆえ慎重に警戒することは必要だったとしても、経済停滞による巨大なリスクも考えなくてはなりません。長期不況によって倒産失業件数が増えれば皆が苦しくなり、自殺する人が増えます。年間自殺者数の増減も数千人単位で、この30年間で自殺者数が多かった年と少なかった年では1.5万人くらいの差がありますから、これも新型コロナウイルスのリスクとは2桁違う話なのです。

大手シンクタンクからも、新型コロナウイルスだけに過剰な対応をし続けることを疑問視する指摘があります。

・「コロナ禍からの脱出」のための知の構造化
(小宮山 宏 三菱総合研究所 理事長・元東京大学総長)
https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/1107
→新型コロナウイルス感染症は、治療薬がないが、医療体制の十分なところではインフルエンザと同程度の致死率である
感染者数の推察に対して、均質なモデルでは単純すぎ、現在無駄な自粛が多すぎる可能性がある

・新型コロナ対策はデータに基づく総合判断を〜わが国の公表死亡率が大幅に低下する可能性〜
(日本総研 調査部 チーフエコノミスト 枩村秀樹)
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/viewpoint/pdf/11741.pdf
→2月以降の活動制限によって、わが国は深刻な景気後退に突入。社会政策として国民に犠牲を強いるのであれば、その根拠をデータで明示することが必要。緊急事態宣言を継続するうえでも、国民の納得感は不可欠。

このような指摘を政府や行政はどのように受け止めているのでしょうか。説明して欲しいものです。

 さて、昨日東京都知事は緊急事態宣言の解除に伴う休業や営業短縮要請の緩和について、3段階のステップを踏んで徐々に緩和していくことを発表しました。

公表されたロードマップによれば、現在の緊急事態宣言継続中はステップ0、26日に政府方針を受けてステップ1に移行し、以後2週間おきに判断してステップを踏んで緩和してく予定とされています。

温浴施設(その他公衆浴場業)は「生活必需物資の小売関係等以外の店舗、生活必需サービス以外のサービス業を営む店舗」と分類され、商業施設の一種とみなされているようですので、今後クラスター発生がない限りは、どうやらSTEP2の対象となるようです。つまり、このまま進んで行くと東京都が温浴施設を休業要請の対象から外すのは6月10日ごろということになります。まだ先の話です。
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1007942/1007957.html

前述のデータから読み取れるリスクバランスや大手シンクタンクの見解などを総合的に考えれば、このロードマップはあまりにも悠長であり、感染拡大リスク以外は考えていないように感じます。社会活動の再開が1日遅れるだけでどれほどの損害と不幸につながってしまうのかということをどう考えているのでしょうか。

さらに、同時に発表された「事業者向け東京都感染拡大防止ガイドライン」を見ると、マンガ喫茶、エステティックサロン、ゲームセンターなどの業種における対策は書かれているのですが、温浴施設については何も記載がありません。https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/968/2020052298.pdf

端的に言うと、業種として認知されていないのです。存在をすっかり無視されています。

前にも書きましたが、温浴施設は公衆浴場とその他公衆浴場だけで全国2万軒。大浴場など温浴設備を有する宿泊業界やスポーツ施設、介護施設などを加えると、コンビニエンスストアの全国5.6万店をはるかに上回る社会的に重要なインフラであり、立派な産業のはずです。

 正直に申し上げますと、私は今回の東京都のロードマップには少し期待していたのです。

都の休業要請において、「銭湯」はOKで「スーパー銭湯、サウナ、岩盤浴」はダメという根拠不明な区別はやめて、社会生活を維持するうえで必要な施設として同じように扱って欲しいという陳情書を5月4日に提出しました。

いったん行政が決定した方針を陳情書ひとつですぐに変更してくれることはなくても、次の緩和の時はきっと配慮してくれるのではないかと思って方針発表を待っていたのです。

ところが現実は期待以下どころか、業種として分類すらされない。否定されるよりも屈辱的な気分になります。

このまま業界として声を上げることもなく、行政に無視されるような扱いをされ続けていて良いのでしょうか。施設数だけでなく、そこで仕事をするスタッフ、多くの取引先、そして日々利用するお客さまのことを考えると、私には到底我慢できません。

一石を投じるとかドン・キホーテではなく、この状況を実際に変えていくことのできる方法を考えます。

(望月)

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