分からない時は手を抜け

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今日は 2020年5月20日です。

分からない時は手を抜け
 いまだ8都道府県の緊急事態宣言は解除されず、現時点では全国的に多くの温浴施設がまだ休業中か営業を再開したばかりという段階です。

当面は資金繰り対策や感染拡大防止対策、そして営業のペースを取り戻すことが喫緊の課題だと思います。

世の中が動き出しつつあることはとりあえず良かったと言えますが、むしろ問題はこれから先のことです。

このコロナショックで、一度にあまりにも多くのことが変わってしまい、それらがもたらす複合的な影響はまだ想像がつきません。

飲食店であればメニューやサービス形態、小売店であれば品揃えや店舗オペレーションを変えるといった対応で、世の中の変化に追従することは比較的やり易いのですが、施設や設備が商売の核となっている温浴施設の場合そう簡単には変えられません。

一度設備投資すればその償却には長い年月が必要なのですから、今後の動向をよく見極めてからでないと大きな投資を伴う決断はしにくいのです。

私も、アフターコロナの温浴施設はどうあるべきなのかと悶々と考えていますが、そんなに簡単に答えに辿り着けるものではないと思います。

ふと、亡き父から教わった囲碁の格言「分からない時は手を抜け」という言葉を思い出しました。

難しい局面で、どう進めたら良いのか最善手が分からない時は、ひとまずその局面から離れて、自分なりに他の大きいと思うところを打つのが良い場合があるのです。

100点満点の最善手にこだった結果、失着して0点になるよりも、他で80点の手を打っておいた方がダメージが少ないと言えますし、周囲の状況が変わることで、難しい局面が判り易くなることも考えられます。

「手を抜く」というのは、難しいところには慌てて手を入れないという意味であり、デタラメな手を打って良いということではありません。自分に判断がつく範囲での最善手を打てということです。

父は寡黙な人でしたので、あまり父と多くの言葉を交わした記憶はないのですが、囲碁を通じて問題への対処法や生き方など、たくさんのことを教えてくれていたのかも知れません。

 余談ですが、最近消毒薬を噴霧したり空中散布したりして、空間や環境全体を除菌しようとする話を何度か目にしました。

感染者が接触し、汚染していることが確定している場所を一斉消毒するのはやむを得ないことですが、空間に消毒剤を常時噴霧したり大規模散布するのはどうかと思います。

そもそも菌やウイルスを殺菌消毒することができる薬品が、人間に対してだけ影響がないということはありません。作用には必ず副作用があります。消毒薬としてポピュラーなアルコールや次亜塩素酸ナトリウムであっても用法や用量を間違えば深刻なトラブルにつながります。

さらに言うと、人間の生命活動は自分の身体の細胞数よりもはるかに多くの微生物(常在菌)と共生することで成り立っていることが最近知られるようになってきましたが、むやみに消毒殺菌することがどのような弊害を及ぼすか、まだよく分かっていないのです。

新型コロナウイルス感染拡大防止のためにマスク着用、手洗い、手指消毒、多くの人が触れる場所の清拭、ディスタンス確保、換気といった一般に理解されている対策をとることは必要ですが、過剰に殺菌消毒しようとし過ぎると別のトラブルになりかねないということも留意する必要があります。

正体不明の新型コロナウイルスに対して不安が募るのは仕方ないことですが、まだ分からないことが多い時に急いで手を打ち過ぎると、失着になるおそれもあるのです。

(望月)

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